建築確認済証がない場合はどうする?売却しにくい理由や対処法を解説

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建築確認済証とは
家を売却するにあたって不動産会社に相談をすると、建築確認済証があるかどうかについて必ず確認されます。なぜなら、建築確認済証があるのとないのとでは、買い手の反応が大きく異なるためです。
一方、建築確認済証が無くても売却は可能ですが、事前に対処しておく必要があります。
ここでは、建築確認済証の概要や受け取るタイミング、再発行ができない点についてご紹介します。
概要
建築確認済証とは、建物が建築基準法などの規定に沿って建てられていることを証明する書類です。建築確認申請にて提出した建築計画をもとに、きちんと計画どおりに建築されているかをチェックし、基準を満たすことで交付されます。
しかし、築年数によって取得率が異なるため、築年数が古い場合は建築確認済証がないケースも少なくありません。築年数が古い物件の売却を検討している場合は、建築確認済証があるかどうかを確認しておきましょう。
受け取るタイミング
続いては、受け取るタイミングについてです。
上記でもご紹介したように、完了検査に合格することによって交付されます。具体的には、完了検査に合格した日から4日以内とされています。
なお、完了検査にて指摘された内容によっては、交付期間が延長となる場合もあるため注意が必要です。また、完了検査は、工事完了から4日以内に受ける必要がある点にも注意しておきましょう。
再発行は不可
建築確認済証をなくした場合、再発行はできません。しかし、建築確認済証の代わりとして、地方公共団体から建築台帳記載事項証明書を発行してもらうことは可能です。
建築台帳記載事項証明書とは、建物の売却時に重要事項説明書に使用する書類となります。主に、建築主の氏名・住所や建築場所・用途、工事種別や構造規模などが記載されています。そのほか、建築確認済証の交付日や番号、検査済証の交付日や番号なども記載されているのが特徴です。
このように、建築台帳記載事項証明書によって、過去に交付されていたことが証明されることから、代用書類としても利用可能です。なお、建築台帳記載事項証明書の発行時には、手数料として200から300円程度かかります。
建築確認済証がないと売却しにくい理由
家を売却する際は、建築確認済証の有無が重要視されます。一体なぜ、売却時に建築確認済証が必要となるのでしょうか。
ここでは、建築確認済証がないと売却しにくいと言われている3つの理由についてご紹介します。
住宅ローンが利用できないため
1つ目は、住宅ローンが利用できないためです。
家を購入する際は、多くの方が住宅ローンを利用しています。しかし、違反建築物と判断された場合は、住宅ローンの融資が受けられません。違反建築物とは、現在の建築業法や都市計画法に違反した建物のことを言います。
このような建物に融資した場合は、違反建築物を延命させたとして、コンプライアンス上での問題が発生します。そのため、住宅ローンの融資について相談した際は、適法な建築物であることが証明できる建築確認済証の提示が求められるのです。
違法の責任が買主にも及ぶため
2つ目は、違法の責任が買主にも及ぶためです。
部屋数が多いからといった理由で購入した建物が、実は建ぺい率や容積率の規定を超えた違反建築物だったケースも実在します。この場合、違反建築物を建てたのが前の所有者であっても、違反の責任は新しい所有者も負わなければなりません。
事情を知らずに購入したとしても、厳しい指導や命令を受けたのち、一部解体工事をするに至ったケースもあります。このようなトラブルに巻き込まれないように、ほとんどの買主が建物の適合性をチェックしたうえで購入の決断をするのが現状です。
したがって、建築確認済証がない建物は敬遠される傾向にあることを頭に入れておきましょう。
増築・用途変更ができないため
3つ目は、増築や用途変更ができないためです。
建物を購入した後に、増築や用途変更を検討していても、現在の建物の適法性が証明できない限り、建築確認申請を受け付けてはもらえません。このように、建築確認済証がないと購入してもリフォームができない可能性もあるため、購入も避けられてしまう傾向にあります。
建築確認済証がない場合の対処法
家を建ててから10年や20年が経過すると、書類をなくしてしまう方も少なくありません。しかし、書類をなくしてしまった場合は、どう対処すればよいのでしょうか。
ここでは、建築確認済証がない場合の2つの対処法と、それぞれの発行方法についてご紹介します。
建築計画概要書で確認する
まずは、建築計画概要書で確認する方法です。
建築計画概要書とは、どのような建築物であるか、建築確認や中間検査などの各種検査は実施されているか、といった概要や検査履歴が記載されている書類のことを言います。
主に、建築確認番号や検査済番号、取得年月日などが記載されており、建築計画概要書を確認することで不動産会社が求める情報を入手できます。
建築計画概要書を確認するには、役所の建築指導課の窓口にて閲覧が可能です。なお、各自治体によって閲覧方法や申し込み手続き、閲覧場所が異なるため、建物を所有する地域の役所にて確認しておきましょう。
また、手書きやパソコンでの書き写しは認められていますが、犯罪防止の観点から写真撮影やコピーは禁止されています。パソコンでもカメラ付きパソコンの場合は禁止されているため、場合によっては手書きのほうがスムーズに進められるかもしれません。
発行手数料に関しては、1通100円から500円程度が一般的です。しかし、市区町村によって異なるためあわせて確認しておきましょう。
台帳記載事項証明書を発行する
続いては、台帳記載事項証明書を発行する方法です。
ほとんどの場合は建築計画概要書にて確認できますが、建築計画概要書に記載がないケースも存在します。その場合は、役所の建築指導課の窓口にて、台帳記載事項証明書を発行してもらいましょう。
台帳記載事項証明書とは、紛失した建築確認通知書の代わりとして発行される証明書であり、建築確認通知書と建築確認済証の記録が記載された書類のことを言います。なお、建築確認通知書や建築確認済証を再発行するものではない点に注意しておきましょう。
また、台帳自体が存在しない場合は発行できません。そのうえ、調査状況によっては建築確認済証の交付年月日がわからないといったケースも考えられます。
発行手数料に関しては、1通200円から400円程度が一般的です。しかし、市区町村によって異なるため事前に確認しておきましょう。
さらに、証明書を発行する際には申請者の氏名や本人確認書類はもちろん、建築当時の地名や地番、建築主名・建築確認番号・建築確認年月日・階層などの情報が必要となります。
建築当時の地名や地番については、住所や住居表示とは異なるため、法務局へ問い合わせるか固定資産税の課税明細書にて調べておきましょう。そのほか、建築主名・建築確認番号・建築確認年月日・階層などについては、登記事項証明書や建築確認台帳に記載されています。
一方、建築主や所有者とは異なる方が発行手続きをおこなう際は、委任状および売買契約書、登記事項証明書の写しも必要です。市区町村によっては、行政のホームページにて委任状のテンプレートが掲載されているため、ぜひご活用ください。
建築確認済証がない家を売却する際の注意点
建築確認済証をなくした場合でも対処法はありますが、売却がスムーズに進むとは限りません。スケジュールに余裕を持ち、計画的に進めることが重要なポイントです。
ここでは、建築確認済証がない家を売却する際に気を付けていただきたい3つの注意点についてご紹介します。
書類発行に時間がかかる
1つ目は、発行に時間がかかる点です。
物件を売却する際には、物件の種類によって必要な書類も異なりますが、査定から成約までに準備する書類は10種類前後もあります。そのうえ、売却の依頼時に必要となる書類、契約時に必要となる書類、さらに確定申告の際に必要となる書類など時期が異なるのも特徴です。
また、発行する際は市役所や法務局で必要となるものも多く、即日発行ができなかったり後日郵送になったりするケースも少なくありません。市役所で発行するにしても、家屋番号や地番などは自分で調べておかなければならない場合もあります。
このように、発行に時間がかかったり調べるのに時間がかかったりすることも多いため、書類を準備するには時間がかかることを念頭に、スケジュールに余裕をもって準備しておきましょう。
不測の事態を考慮する
2つ目は、不測の事態を考慮しておくことです。
たとえば、書類の準備をしていたところ、印鑑登録がおこなわれていないとなると印鑑証明書まで再発行しなければなりません。このように不測の事態が起こる可能性もあるため、手間がかかることも考慮しておきましょう。
また、自分で処理するには難しいと感じることもあるでしょう。その場合は、司法書士や税理士、土地家屋調査士などに相談するのもオススメです。
買取も検討する
3つ目は、買取も検討しておくことです。
建築確認済証が無くても、売買を専門としている不動産会社であれば、物件の取り扱いにも慣れているため、買取をおこなってくれる可能性も高くなります。買取を依頼することで、買主を探す手間が省けるため1週間から2週間程度で売却が可能です。
しかし、買取価格が通常売却よりも低くなる可能性がある点に注意しておきましょう。
まとめ
今回は、建築確認済証がないと売却しにくい理由や対処法、注意点についてご紹介しました。
建築確認済証は、完了検査に合格した日から4日以内に交付されますが、なくした場合は再発行ができません。
建築確認済証がない場合は、住宅ローンが利用できないうえ増築や用途変更も難しく、買主にも違法責任が及ぶことから売却しにくいと言われています。
そのため、建築計画概要書や台帳記載事項証明書にて事前に対処しておくようにしましょう。
また、書類発行には時間がかかるうえ不測の事態も考慮したうえで、計画的に準備を進めることが重要なポイントです。そのほか、売却を急いでいる場合は、不動産買取も検討するとよいでしょう。