相続した土地を売却する際に発生する税金は?
今回の記事は、以下のような方にお勧めです。
- 相続した土地を売ろうと思っている方
- 土地を相続する予定がある方
Contents
税金の種類
相続した土地を売るのは予想以上に時間と手間がかかってしまいます。
色々な感情も出てくるでしょうし、複雑な手続きも多く一筋縄にはいきません。
まず相続した土地を売ることってできるのか?疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えしますと、基本的に相続した土地を売却することは可能です。
ただし、条件によっては厳しい場合もありますので注意しておいてください。
土地を遺産として相続した場合、使用するのが難しい土地であれば、維持し続けるのも難儀なので売りたいと思う方もいると思います。
相続した土地を売る際は様々な税金が発生します。
今回の記事では、相続した土地を売る際にかかる税金や節税方法など詳しく解説していきます。
まずは税金の種類について説明します。
相続人が複数人いる場合は、遺産として相続した土地を売ったとしても遺産を分配しなくてはならないケースもあります。
今住んでいる場所から遠い土地を相続した場合、維持していくことも活用方法も難しくなれば売ることを決断する方もいるはずです。
相続した土地を売却する際は、以下の税金がかかります。
印紙税、登録免許税、所得税、復興特別所得税、住民税、譲渡所得課税、仲介手数料等の消費税です。
印紙税
土地を売る際の売買契約書には必ず売却価格に応じた印紙税を貼らなくてはいけません。
登録免許税
土地を売った場合、不動産の登記変更が必要になります。
その際に登録免許税という税金が発生します。
不動産が登記されている住所と今の住所が違う場合→【住所変更登記】
売る土地に抵当権がある場合→【抵当権抹消登記】
上記がそれぞれ必要となります。
所得税
注意しておくべきポイントは所得税が課せられる点です。
土地を相続した際、被相続人が死亡した年の所得に所得税が発生しますので、注意しておきましょう!
被相続人が自営業だったり、賃貸業を営んでいる場合、相続人が代わりに確定申告を行う【順確定申告】の申請が必要となります。
これには期限があり、被相続人の死亡から4か月以内と定められているので遅れないように気を付けてください。
復興特別所得税
所得税が課せられることはお伝えしましたが、その一部に【復興特別所得税】も含みます。
住民税
住民税も注意しなくてはいけないポイントです。
土地を相続しても、相続人の住民税にはなんら影響はありません。
ですが、亡くなった被相続人の住民税は、相続人の代表者が納税手続きしなくてはいけません。
そうなれば、土地を相続する全員で税金を負担して払うようにするか、相続財産から未納文を分けるかといった納税方法があります。
譲渡所得課税
税金のうち、譲渡所得課税がもっとも高額になります。
土地だけでなく建物も含めた不動産全てに課せられる税金です。
土地を売った際の譲渡所得(利益)に対して発生する税金のことを指します。
譲渡所得は、売却価格から取得する際にかかった費用や諸経費などを引くと計算できます。
式としては【譲渡所得=売却価格-(取得費用+譲渡費用)】です。
分かりやすく例を挙げるとすれば、元々1,500万円で買われた土地を相続して2000万円で売却した場合は以下となります。
譲渡費用が50万円の場合→譲渡所得は450万円となります。
譲渡所得税は、譲渡所得に対して所得税15%と住民税5%、復興所得税2.1%をかければ計算可能です。
また所得税と住民税の税率は、所有していた期間によって異なります。(売却した年の1月1日時点まで。)
所有期間が5年以上の場合
- 所得税15%
- 住民税は5%
所有期間が5年以下の場合
- 所得税30%
- 住民税9%
金額が大きく変わってくるので所有期間に関しては充分注意しましょう。
仲介手数料等の消費税
当然、消費税も含まれます。
不動産の売買は一般的に不動産会社を通して行うものです。
その際に発生する仲介手数料にも消費税が課せられます。
仲介手数料の計算方法は仲介業者によって異なるケースも非常に多く、複雑な点でもあります。
上記7つが相続した土地を売る際にかかる税金の種類となります。
節税方法
以下では、効果的な節税方法をご紹介します。
代表的な節税対策は、取得費がしっかり分かる資料を取り揃えること、譲渡費用を漏れのないように計上すること、ふるさと納税を活用することです。
まずは、取得費用がしっかり分かる資料を準備しておくことをお勧めします。
一般的には概算取得費で計算するケースが多いですが、この計算方法の場合は譲渡所得が大きくなってしまう傾向があります。
取得費用がちゃんと分かる資料を探しておくことが節税には非常に有効となります。
土地を購入した際の売買契約書以外を取得費とするのであれば、必ずあらかじめ税務署に相談しておくようにしましょう!
土地を取得した際に費用がしっかり分かっている場合、一部の費用を取得費用に足すことが可能です。
費用によって取得費用を少しだけ大きくすることが可能ですので、節税に繋がる手段ともいえます。
譲渡費用を漏れのないように計上することも節税に役立つ手段です。
そして、忘れてはいけないのがふるさと納税です!
ふるさと納税を利用すると節税可能です。
譲渡所得では所得税と住民税が課せられるので、ふるさと納税をうまく活用すれば節税できます。
ふるさと納税は、自治体へ寄附し、その寄附金額から2,000円引いた金額が翌年の住民税もしくは控除、所得税から還ってくる制度を言います。
ふるさと納税のメリットは節税だけではありません。
最大のメリットともいえるのが、寄付した自治体から返礼品がもらえる点です。
ふるさと納税には【ふるさと納税控除上限額】という税金を控除できる制度が存在します。
控除条件額は所得が高くなればなるほど比例して高くなるので、譲渡所得が生じた年はふるさと納税控除上限額も必然的に増える流れです。
ふるさと納税控除上限額が大きくなると生まれるメリットは、自己負担は少なくとも高い返礼品をもらえるという点です。
そうなると、普段はなかなか難しいような自治体にも寄付できるようになるでしょう。
ふるさと納税を利用した節税方法は非常にお勧めです。
売却するメリット
税金についてある程度理解したうえで、相続した土地を売るメリットは何なのか?解説していきます。
そもそも相続した土地は、活用方法は様々ですし、基本的には使途も自由です。
自分が住むための住居を建てることももちろん可能ですし、アパート経営や駐車場経営として活用することも可能です。
固定資産税を払わなくて済む
まず、相続した土地を手放す最大のメリットは固定資産税を払わなくて済む点ではないでしょうか。
不動産を所有している限り、毎年必ず都市計画税と固定資産税を支払わなくてはいけません。
相続した土地を一切活用していなくても、相続された時のまま放置しているだけで課税されますので要注意です。
土地を売ってしまえば納税の義務はなくなるので、経済的な負担も軽減できると思います。
相続税の納税資金に充てられる
2つ目のメリットは、相続税の納税資金に充てられる点です。
土地を売った時に取得した売却代金を相続税の支払いに充てることが可能です。
さらに、相続税を支払った後にお金が手元に残れば当然自分の資産になります。
相続した際に手元にまとまったお金がなければ、相続税の支払いは難しくなりますので、そういった際に問題解決する手段となります。
土地を管理する手間が省ける
3つ目のメリットは、土地を管理する手間が省ける点です。
相続された土地を更地のまま手入れせずに放置していると、廃棄物や不法投棄の被害に遭いかねません。
また、近隣住民に無断で使用されたりと、様々なリスクや問題が起こりやすくなります。
土地を売って手放してしまえば、そのような問題に悩まされることもなくなります。
土地を管理するのにかかる手間や労力も必要なくなるでしょう。
注意点
最後に注意点について触れておきたいと思います。
令和4年度の税制改正により令和6年4月から相続登記が義務化されるようになりました。
不動産を相続した際における相続登記の義務化の理由は、全国に所有者不明の空地や空き家が増え続けている問題を解決するためです。
登録免許税も納付しなくてはいけません。
仮に相続登記をしなければ、ペナルティとして10万円支払わなくてはならないので要注意です。
次に、気を付けていただきたいのが相続税路線価は年をまたぐと変わるおそれがあることです。
路線価地域にある土地の相続財産評価は市場価格の約8割となります。
相続財産評価の基準となる価格を【相続税路線価】と言います。
相続税路線価は、毎年1月1日時点である範囲内での道路に面している土地に対する評価です。
毎年7月に国税庁により発表されています。
被相続人が亡くなったのが大晦日もしくは元日なのかで評価額が異なるケースもあるのです。
基本的には被相続人が無くなったことを相続人が知った日を基準に、翌日から数えて10カ月以内に相続税の申告をして納税する流れになっています。
土地の相続税を計算する場合に、いつの路線価を基準にして計算するのか気を付けなくてはいけません。
5.まとめ
土地を相続して使い道に迷う方、どうしても維持していくのが難しく売りたい方、色んな方がいらっしゃると思います。
税金に関することは、素人だと理解するのが難しそうだと苦手意識を持ってしまう方も多いのではないでしょうか。
土地を活用するとしないとでは支払わなくてはいけない所得税も大きく異なってきます。
ですが、土地を活用するといっても一般人には難易度が高く、決して簡単なことではありません。
当然、専門的な知識も必要ですしそれに基づく手続きも必要でしょう。
かといって相続した土地を売るのもとても複雑です。
冒頭でも伝えましたが、土地を売却するのには必要な書類が山ほどあるので準備するのも一苦労です。
まずは自分でも知識をある程度付けたうえで、信頼できる業者を探してください。