アスベスト処分費用はこれで決まる!流れと費用相場を徹底解説
皆様、早速ですが、「アスベスト」についてご存じでしょうか。
アスベストは、一昔前にビルや住宅などの建物に多く使用されていた材料です。
10年以上前に製造が全面禁止となりましたが、現在もアスベストを使用した建物が残っています。そこで、自宅にアスベストが使用されている場合の、アスベスト処分にかかる費用についてご紹介します。
Contents
アスベストとは?処分しなければならない理由と健康リスク
それでは早速、アスベストとは何なのかを詳しく解説していきます。
そして、なぜ、アスベストを処分しなければならないのか。
ご紹介していきます。
まず、アスベストとは「石綿(いしわた・せきめん)」と呼ばれる、天然にできた鉱物繊維です。(参照:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/sekimen/jigyo/ryuijikou/index_00001.html
アスベストは、1955年ごろから、鉄骨造建築物や住宅などに軽量耐火被覆材として使用されるようになりました。アスベストは、軽量・安価・耐火・断熱・防音など、多くの利点を持っています。その利点から、2006年の労働安全衛生法施行令まで多く使われてきました。アスベストの繊維はきわめて細く、飛散しやすいです。その繊維を吸い込み体に蓄積されることで健康被害が発生するのです。具体的な病気には「肺線維症」、「悪性中皮腫」、「肺がん」などがあります。このような健康被害が確認され、アスベストは2006年に労働安全衛生法施行令によって全面製造・使用禁止となりました。
アスベストは「発じん性」の危険度に応じて、レベルが分けられています。
レベル1が最も危険で、レベル2、3と低くなっていきます。
なぜアスベストを処分しなければならないのか。それは、前述の通り、アスベストが人体に健康被害を及ぼすからです。
アスベストは少量であれば異物として痰に交じり体外へ排出されます。しかし、大量に吸い込んでしまうと体外に排出されることはありません。肺の中に蓄積され数年の潜伏期間を経て何らかの病気を発症します。
自宅などの建物にアスベストが使用されていると、アスベストの繊維が空気中に浮遊している状態になります。そのため、建物にアスベストを使用している場合早急に処分が必要です。それでは、どうやってアスベストの処分を行えば良いのでしょうか。次の章ではアスベストを処分するまでの流れについてご紹介していきます。
アスベスト処分の流れ:工事前から完了までのステップ
まず、アスベストは「石綿含有廃棄物の定義(https://www.env.go.jp/content/900534247.pdf)環境省」
というものが定められています。
アスベストの処分は、業者に依頼し、「工事」として実施されます。そのアスベスト処分の工事に着手するまでの流れをご紹介していきます。
アスベスト処分工事の着手まで
①現場の状況調査
建物に含まれるアスベストの量を調査することが必須です。
調査によってわかった、すべての情報を行政に報告します。
②施工計画の作成
現場調査の結果をもとに、工事の計画を立てていきます。
この時、同時にアスベストの処分の計画や、環境保全に関する計画も立てられていきます。
このような施工計画をもとに、アスベスト処分の工事が行われるのです。
③アスベスト処分工事の届け出
現場調査によってわかったアスベストのレベルに沿って届け出が必要となります。
アスベストのレベルが1の場合
- 工事計画届出書
- 特定粉じん排出等作業届出書
- 事前届出書
- 建築物解体等届出書
の4つが必要となります。
アスベストレベルが2の場合
- 工事計画届出書
- 特定粉じん排出等作業届出書
- 事前届出書
の3つが必要となります。
アスベストレベルが3の場合
事前届出書
のみが必要となります。
④近隣住民へ工事の説明
原則として、工事を実施する業者が近隣住民への説明を行います。
アスベストを処分することが目的の工事であることや、注意点などを伝えなければなりません。
近隣住民への説明は工事によるトラブルやクレームを防ぐためにとても重要です。
続いては、実際に工事に着手から工事終了までの流れをご紹介していきます。
アスベスト処分の工事の流れ
①工事内容の提示
アスベスト処分の工事であることを周囲の人に伝わるように提示していく必要があります。ですので、外から見て「アスベスト処分」の工事をしていることがわかる看板などを設置する必要があります。
②足場・養生の設置
いよいよ工事が始まります。
まず、アスベストを処分するために足場を組んだり、アスベストが飛び散ってしまうのを防ぐシートを建物に被せたりします。
③アスベストの除去
ついにアスベストの除去に入ります。
アスベストが飛び散ってしまうのを防ぐため、アスベスト飛散防止剤を撒きます。そこから、専用の機材などを使用してアスベストの除去を行っていきます。
④廃棄物の破棄
処分したアスベストは分別する必要があります。
分別したアスベストはここでも飛散にも細心の注意を払って廃棄します。
⑤取り残しなどについての最終確認
除去や廃棄すべてが一通り終わったら、作業がミスなく終えられているかの確認があります。この確認は石綿作業主任者によって目視で行われます。
もし、アスベストの取り残しなどが見つかった際には再び撤去が必要になります。そのため、確認はしっかりと行いましょう。
ここまでがすべて終わればアスベストの処分は完了です。
続いては、アスベストの処分にかかる費用についてです。
アスベスト処分の準備:現場調査から計画作成までの詳細な流れ
それでは、アスベストの処分にかかる費用を紹介していきます。
アスベスト処分の大体の相場は、国土交通省が公表しています。
アスベスト処理面積 | 除去費用 |
300㎡以下 | 2.0万円/㎡~8.5万円/㎡ |
300㎡~1000㎡以下 | 1.5万円/㎡~4.5万円/㎡ |
1000㎡以上 | 1.0万円/㎡~3.0万円/㎡ |
(参照:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/Q&A/#a40)
しかし、この相場は全国のデータを基に算出したものです。そのため、アスベストレベルなどによっても費用は変わってきます。
まず、アスベストレベル1の場合、1㎡あたり1万5000円~8万5000円程度です。アスベストレベル1はアスベストを含有している吹付け材などが対象であり、発じん性が最も高いため危険を伴います。そのため費用が1番高くかかります。
次に、アスベストレベルが2の場合は1㎡あたり1万円〜6万円となっています。アスベストが含有されている断熱材や耐火被覆材などがアスベストレベル2に分類されます。アスベストレベル1ほどではないですが、高い危険性を持っています。
そして、アスベストレベル3の場合、1㎡あたり3000円ほどとなっています。アスベストレベル3に分類されるものは固い建材が主です。アスベストレベル1と2に比べてアスベストが飛散しにくく、危険性は低いとされています。このような建材は一般的な木造建築の家などに使用されています。
以上が、アスベスト処分にかかる費用についてです。
アスベストレベルが高いほど、処分費用が増加します。
次に、そんな高い費用がかかってしまうアスベスト処分ですが、どうにか費用を抑えることはできないのか。費用を抑えるための方法をご紹介します。
アスベスト処分工事の詳細な流れ
それでは、アスベスト処分の費用を抑える方法をご紹介していきます。費用を抑える方法はいくつかあるのですが、まず、補助金制度を利用する方法です。アスベストは有害な物質であり、処分が必要なため、国から補助金が支給されます。補助金にはいくつかの種類があります。
分析に関する補助金
アスベストがどれくらい使用されているかや、アスベストの使用レベルを調査、分析する際に出る補助金です。
補助金の対象となる条件は
- アスベストが使用されている疑いのある建築物
であることです。
補助の内容は
- アスベストの有無を調査する費用
そして、補助金の額は
- 1棟あたり25万円
となっています。
この補助金を活用するためには、まず業者に頼む前に自治体へ相談し、補助金の申請をおこなうことです。補助金の申請が通ってから業者に依頼を行いましょう。
除去工事に関する補助金
こちらの補助金はその名の通りアスベストの除去工事の際に出る補助金です。
補助金の対象となる条件としては
- アスベストが施工されていると判明した建築物
であることです。
補助の内容としては
- 対象建築物のアスベスト除去、封じ込めや囲い込みにかかる費用
そして補助金の額は
- 自治体補助額の2分の1以内、費用総額の3分の1以内となっています。
除去工事に関する補助金についても事前に自治体に相談・申請するようにしましょう。
補助金以外でアスベスト処分の費用を抑えるには、
- 複数の業者に見積もりを依頼する。
- アスベスト処分の経験が豊富な業者に依頼する。
などがあげられます。
複数の業者に見積もりを依頼することで、金額の比較を行うことができます。それによって後から「こっちの業者の方が安かったかも…?」を防ぐことができます。
アスベスト処分の経験や実績が豊富な業者に依頼することで、補助金などの制度を詳しく知っている可能性が高いです。
アスベスト処分のより良い業者を見分ける方法としては
- 資格保有者が在籍していること
- 施工実績を公開していること
- 現地調査後の見積もりをしてくれる
の3つが挙げられます。
アスベスト処分を依頼する業者選びの参考にしてください。
【さいごに】アスベスト処分の注意点とリスク:安全な処分を行うために
いかがでしたでしょうか。
今回はアスベスト処分や、処分の際にかかる費用についてご紹介してきました。
アスベストは、体に甚大な被害をもたらすものです。処分の際にも、もちろん一般ごみとして出してはいけませんし、適切な処分の方法があります。それらを理解してアスベストの処分をすすめていきましょう。
そして、アスベスト処分は国の補助金制度や、支援などもしっかりされています。そのため、アスベストの処分については迷わず自治体へ相談しに行きましょう。
最後に、今回の記事のおさらいです。
まず、アスベストとは石綿と呼ばれる天然の鉱物石材です。
断熱材や防音材として、建築物に多く使われてきていました。
しかし、石綿の細かく細い繊維が空中に舞い人が吸い込むことによって「肺がん」や「肺線維症」などの病気を発症する原因となることが判明しました。
そして2006年にアスベストの製造・使用が全面的に禁止となりました。
アスベストを処分するには、一体その建物にどれくらいのアスベストが含有されているのかなど調査が必要となります。
その調査を終えたのちに処分へと取り掛かります。
この際、調査を行う前の段階から自治体に補助金の申請を行うとアスベストのレベルや処分にかかる費用に応じて補助金が出ます。
補助金や、業者選びを通してアスベスト処分の費用を抑えることが可能となっています。