固定資産税が払えない!どうなる?どうしたらいい?リースバックで対策を
一軒家やマンションなどの不動産には毎年、固定資産税の納付が定められています。現役で会社勤めをしているときには問題なく支払えていたけれど、年金暮らしになり収入が激減すると支払えなくなるというケースは少なくありません。また、親や祖父祖母から不動産を相続したことで納付が求められるようになり、困ってしまうというケースも耳にします。
この記事では固定資産税を払えないとどうなるのか、またどのように対処すれば良いのかなどをまとめてみました。対処法のひとつとして、リースバックというオススメの方法も記載していますので、ぜひ最後までご覧ください。
Contents
固定資産税とは
固定資産税とは、持ち家がある場合にかかる税金……というぐらいの知識しかない方も多いのではないでしょうか。この章では固定資産税について基本的な内容を紹介していきます。
固定資産税とは
固定資産税は、土地・家屋・償却資産(事業用の自動車など)にかかる地方税で、その年の1月1日時点での所有者に納税義務が課されます。たとえば1月2日に所有権を得た不動産があれば、年内の固定資産税の納付義務はなく、翌年から発生することになります。1月2日に手放したとしても、年間の納付額を全額納めなければなりません。
支払いは、地方自治体から4~6月ぐらいに納税通知書が発送され、通常年4回(6月・9月・12月・2月)に分けて支払うのが一般的ですが、一括払いの選択も可能です。納付期限は各地方自治体によって異なりますので、納付通知書の記載に従いましょう。
同時に徴収される都市計画税とは
都市計画税とは、都市計画事業などで指定された市街化区域内に不動産を所有している人に課税され、固定資産税と同じタイミングで納税します。都市計画税の課税対象なのかどうかは、地方自治体や不動産会社に問い合わせる方法や、インターネットによる検索で確認できます。
固定資産税の特例措置について
住宅用地の特例措置は、人が居住する家屋の敷地として利用されている土地に適用される特例です。土地の種類によって負担率が変わりますが、課税標準率が最大で評価額の6分の1と、大幅な減税になります。
固定資産税の算出方法
土地の固定資産税の算出方法は、以下の計算式で算出します。
固定資産税=(課税標準税額)×(住宅特例)×1.4%(標準税率)
課税標準税額=(路線価)×土地の単位地積(1㎡)
課税標準税額は、路線価によって算出します。路線価は国税庁のWebサイトで確認可能です。
(例)1㎡あたり30万円の土地を100㎡所有している場合→課税標準税額:3,000万円
ここに住宅用地の特例措置が適用され、課税標準税額に対して200㎡までは6分の1、200㎡超の部分は3分の1を乗じて計算します。
(例)課税標準税額3,000万円の6分の1(200㎡以下)→500万円
500万円に対して、標準税率1.4%が固定資産税とされます。1.4%は自治体によって異なります。
(例)500万円×1.4%=7万円(土地の固定資産税)
次に建物の固定資産税です。建物の固定資産税は建物の評価額から算出されます。固定資産税の納税通知書に記載されている課税明細書に評価額は記載されています。
建物の固定資産税=評価額×1.4%(標準税率)
評価額500万円の建物であれば、1.4%の7万円が建物の固定資産税となります。
固定資産税が払えないとどうなる?
老後資金が足りない、急な相続で資金の用意がないなどの理由によって、固定資産税が払えない場合、どうなるのかをみていきましょう。
督促がくる
固定資産税の支払い期限を過ぎると、20日以内に督促状が届きます。督促状が届いてもなお支払わずにいると、次に催告書が発行されます。催告書とは、支払いを促す最終通告を意味し、支払い期限内に支払わなければ法的措置をとるなどが明記されています。
延滞金が追加される
固定資産税の納付期限を過ぎると延滞金が発生します。納付期日の翌日から発生し、延滞が長引くほど延滞金も高くなるので、すぐに納付しなければ追加金が高くなるばかりに。延滞金は年によって割合が変動しますが、令和6年1月1日~12月31日では、以下のとおりです。
納付期日の翌日~1カ月を過ぎるまで:税額の2.4%
1カ月を経過した日以降:税額の8.7%
差し押さえられる
督促状が届いてから10日以内に納付しない場合、財産が差し押さえられる旨の最後通告となる催告書が送付され、預貯金などの財産調査が行われます。財産調査が入ることにより、金融機関や勤務先に固定資産税の支払いができていないことが発覚してしまいます。預貯金で滞納分が支払えない場合は、給与の差し押さえに移行。預貯金や給与でも支払いきれない場合には、所有している不動産が差し押さえられ、競売にかけられます。この段階までくると不動産を取り戻すことはできなくなり、住宅であればすぐに退去しなければなりません。
固定資産税が払えないときはどうしたらいい?
固定資産税を払えないと財産を差し押さえられ、金融機関や勤務先からの信用も失ってしまいます。そうなる前にどうしたら良いのか解説します。
自治体に相談する
まずは自治体の窓口に相談しましょう。固定資産税が払えないとわかればすぐ相談することで、さまざまな対処が可能です。相談窓口の連絡先は、固定資産税の納付書や督促状に記載があるので、すぐに連絡し相談が必要です。
分納に変更する
固定資産税は一括支払いか、4期に分けての支払いが原則ですが、経済的に納付が厳しい場合は分納に変更できる場合があります。分納は固定資産税を年12回の支払いに変更できるので、1回あたりの負担が軽くなります。
執行猶予を受ける
固定資産税を一時的に支払えない事情がある場合、支払い期日を1年以内の期間に限り、執行猶予が認められる場合があります。下記の要件に該当する場合は、相談してみてください。
- 災害や盗難にあったとき
- 本人または生計を一にする親族が病気、または負傷したとき
- 事業を廃止、または休止したとき
- 事業で著しい損失を受けたとき
減免を受ける
固定資産税にはいくつか減免制度があります。固定資産税の算出方法でふれたように、住宅用地の特例措置という居住用の建物の敷地として利用している住宅用地には最大6分の1になります。住宅用地の特例措置以外にも減免されるものがありますので、該当する特例はないかチェックしてください。
3-4-1.新築住宅に係る税額の減額措置
2024年3月31日までに建てられた新築住宅は、一戸建ての場合は3年間・マンションの場合は5年間、固定資産税が2分の1に減額します。減額を受けるには申請が必要になるため、自治体へ問い合わせるか、自治体Webサイトで「新築住宅 減額措置」などのキーワードで検索してください。
災害で被害にあったときの減税
災害によって土地や建物が被害にあった場合、固定資産税と都市計画税の減免が受けられる制度があります。減免が受けられる基準や内容は自治体ごとに異なりますので、詳細は自治体への問い合わせ、または自治体Webサイトで確認しましょう。
生活保護をうけている・生活が困窮している場合の減免
生活保護を受給している場合や、生活保護以外の扶助(介護扶助など)を受けている場合、所有する固定資産税への減免制度があります。減免される期間は、生活保護やその他の扶助を受けた日以後の年度末到来納期分となります。詳しい要件は自治体ごとに異なります。
その他住宅の改修工事に係る減免
耐震化のための改修工事・省エネ改修工事・バリアフリー工事などを行った建物に、固定資産税の減免措置をする自治体もあります。相談窓口で住宅に関わる自身の情報を伝え、最適な措置を提案してもらうとよいでしょう。
任意売却する
固定資産税の分納や、減免などのできる対処をしたとしても納付が難しい場合は、不動産を売却するという方法があります。土地や自宅が差し押さえられ、競売にかけられてしまうと任意売却はできません。ただし、固定資産税はその年の1月1日時点で不動産を所有している人に課される税金ですので、売却したとしても1年分の納付義務は消滅しません。売却によって得たお金から固定資産税を支払いましょう。
固定資産税の対策にリースバックという選択肢
固定資産税を払えない場合に任意売却をする方法を紹介しましたが、自宅を売却してしまうと当然ながら退去が必要になります。愛着のある自宅から出たくない、引っ越しにより子どもを転校させたくない、ご近所に自宅を売却したことを知られたくない……といった方には、自宅売却ではなく、リースバックという選択肢があります。
リースバックとは、不動産会社に自宅を売却し、その後は賃貸料金を支払うことで自宅に住み続けられる取引手法です。自己所有物件ではなくなるので、固定資産税の支払い義務は翌年から不要になります。固定資産税の滞納が続くと財産を差し押さえられてしまうため、少しでも早くまとまったお金が必要です。リースバックなら、買い手が不動産会社のため買い手を探す必要のある任意売却よりも売却金が手元にくるまでのスピードが早いというメリットも。
住宅ローンの残債がある場合は、毎月のローン支払いに加えて固定資産税がかかります。リースバックをすることによって、固定資産税の支払いはなくなりますので、居住費が下がる可能性があります。ただし、リースバックの賃貸料は自宅の買い取り金額によって算出されますので、周辺地域の賃貸料よりも高額になる可能性があります。リースバック後の賃貸料が高くて支払えず、結局退去という結果にならないように、事前確認のうえ、決めてくださいね。
まとめ|固定資産税が払えない場合はすぐに相談・対処を!
さまざまな事情で固定資産税を払えなくなった場合は、まずは自治体に相談しましょう。固定資産税の納付書や、督促状の連絡先に一日でも早く連絡をいれます。相談窓口では、個々の事情を聞き、分納(年12回払い)への変更措置や、徴収猶予を付けてもらうなどし、納付できるよう調整をします。
まちがっても、督促状を無視して支払わないという選択はしないように。固定資産税の督促状を放置し続けると、自治体による財産調査が行われ、預貯金や自宅が差し押さえられてしまいます。
固定資産税の支払い義務自体をなくすには、自宅を任意売却する手もありますが、そうすると愛着のある自宅から退去せざるを得ません。今は引っ越したくないとお考えであれば、売却後に賃貸で住み続けられるリースバックという方法もオススメです。
不動産所有者の義務である固定資産税。払えない場合は、財産の差し押さえという最悪の結果にならないよう、早めの相談と適切な対処をしてくださいね。