損益通算について徹底解説〜自宅売却で損失が出た場合の対応とは?〜

目次

  1. 「損益通算」ってなに?
  2. 損益通算の注意点とは
  3. 自宅売却で損失が出た場合はどうなるの?
  4. わからなかったら専門家に相談しよう
  5. まとめ

「損益通算」ってなに?

「損益通算」とは、計算方法のことで、赤字の所得を他の所得の黒字と合わせて計算します。

所得の計算は、1年間の収入金額から、必要経費を引いて計算します。
計算結果がプラスであれば黒字、マイナスであれば赤字ということになります。黒字になった場合に税金がかかるのですが、所得税の場合は少し話が複雑になってきます。
所得税の計算では、所得を給与所得、事業所得などと10種類に区別して計算しているのです。その結果、給与所得は黒字だけど事業所得は赤字だった、というケースもあります。この場合は「損益通算」でけ計算し、赤字の事業所得と黒字の給与所得を合わせて計算し税金の計算をします。

【損益通算できる所得】

損益通算は、どの赤字でも相殺できる訳ではなく、相殺の対象も決められているので、確認が必要です。赤字を他の所得と損益通算できるのは4種類あります。
1つ目は、土地や建物の貸付などによる所得である「不動産所得」2つ目は各事業所を営むことによる所得である「事業所得」3つ目は建物。土地、株式やゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生まれる所得である「譲渡所得」※不動産や株式等は制限があります。4つ目は山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生まれる所得である「山林所得」です。

【損益通算できない所得】

不動産所得で赤字の場合、損益通算ができない場合が2つあります。
1つ目は別荘などです。主として娯楽や趣味。保養または鑑賞の目的で所有する不動産の貸付にかかわるもの。2つ目は、不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入した土地などを取得するためにかかった負債の利子に相当する部分の金額です。この金額は収支内訳書、青色申告決算書のそれぞれ1ページ目に記載する欄があります。

【譲渡所得の赤字で損益通算ができない場合】

建物や土地、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生まれる所得のことを「譲渡所得」といいます。譲渡所得のうち以下の3つは他の種類の所得と損益通算をすることができません。

①生活に通常必要ではない資産(生活に必要ではない資産のこと)

②確定申告分離課税の株式など

なお、申告分離課税とは確定申告で所得税を計算する際に、一定の所得については他の所得と別計算で税額を計算する方式のことをいいます。(一方で、事業所得や給与所得など、各所得を合計して所得税を計算する方式を総合課税といいます。)

ただし、上場株式等に係る赤字については、申告分離課税を選択した上場株式等の配当等に係る配当所得と利子所得との損益通算をすることができます。また、上場株式等の赤字は3年間の繰越控除を受けることができます。

③土地、建物など

土地建物等の譲渡で赤字が出た場合でも、原則として土地建物等の譲渡以外の所得と損益通算することはできません。ただし、マイホームの譲渡で一定の場合には損益通算できる特例があります。また、他の所得の赤字を土地建物等の譲渡による黒字と損益通算することもできません。

山林所得の赤字で損益通算できない場合
山林所得は、山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得をいいます。ただし、山林を取得してから5年以内に伐採又は譲渡した場合は、山林所得ではなく事業所得か雑所得になりますので、事業所得の場合は赤字を損益通算でき、雑所得の場合はできないということになります。また、山林を山ごと譲渡する場合の土地の部分は、土地等の譲渡所得になりますので、赤字は損益通算できません。上記で挙げた不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得以外のもので、利子所得、配当所得、給与所得、雑所得、一時所得、退職所得については、赤字になったとしても、他の種類の所得と損益通算することはできません。なお、同じ種類の所得内での損益通算は可能ですが、一定のものについては相殺の対象が限定されます。申告分離課税の先物取引に係る雑所得等(FX取引など)の赤字は、先物取引に係る雑所得等以外の所得と損益通算することはできません。ただし、赤字については3年間の繰越控除を受けることができます。

引用 https://sumoviva.jp/article/1012030

【損益通算できる所得一覧】

【損失計算できない所得】

損益通算の注意点とは

損益通算は、黒字の所得と赤字の所得がある際に使用する計算方法です。そのため、基本的なルールがある計算方法なのでメリットやデメリットは存在しません。
しかし、納税者が選択できる特例については、メリットとデメリットを理解して検討しなければなりません。

【上場株式等の損失通算】

上場株式などの譲渡所得については、特定口座で「源泉徴収あり」を選択すると確定申告不要とすることができます。
複数の口座があり、赤字の口座と黒字の口座がある際は、確定申告をすることで通算することができます。また、上場株式等の配当所得についても源泉分離課税を選択すればことらも通算のすることができます。
メリットとしては、赤字になった分だけ譲渡所得が減ります。そのため、源泉徴収された税額が還付されます。通算して赤字が残ってしまった場合には、譲渡損失の繰越控除制度も受けることができます。

上場株式などの譲渡所得を損益通算して黒字になった場合はデメリットになる場合があるので注意が必要です。特定口座で確定申告不要としている場合は、上場株式などの譲渡所得の黒字は国民保険の計算に反映されませんが確定申告で譲渡所得を申告した場合にはその計算は対象に入ります。そのため、損益通算をすることで還付される税金より保険料の方が上がってしまうことがあります。窓口負担が増えてしまう高齢者の方は注意が必要です。

自宅売却で損失がでた場合はどうなるの?

次にここでは、マイホームを売った際に損失が出てしまった場合にどうすればいいのかについて書いていきたいと思います。
マイホームを令和3年12月31日までに売却して、新たにマイホームを買った場合に、前のマイホームの譲渡による損失が出てしまった時は、一定の要件を満たすと譲渡損失はその年の事業所得や給与所得などの他の所得から控除することができます。
また、控除しきれなかった譲渡損失は翌年以降3年内に繰越して控除することができます。

対象となる人は、マイホームを売却して譲渡所得が発生した方で新たにマイホームを買った人です。以下の要件のすべてを満たすことが必要です。

【適用要件】

【譲渡資産にかかわる適用要件】

【買い換え資産にかかわる適用要件】

【適用除外】

【特例の内容】

なお、適用期限は2023年12月31日の譲渡までで、適用を受けるには必要書類をそろえて、確定申告する必要があります。また、住宅ローン控除との併用が認められています。
引用 https://www.fudousan.or.jp/tools/tax/sale03.html

わからなかったら専門家に相談しよう

損益通算の計算は、赤字と黒字がある場合に使用する計算方法です。単純に計算する場合は簡単ですが、所得の種類によっては赤字を切り捨てたり、特例が出てくる場合が必要です。費用はかかってしまいますが、税務署や税理士などに相談することで安心が得られると思います。

まとめ

数十年前、「バブル時代」と呼ばれていた頃は、不動産を持っていれば、価値は段々とあがり、売ると、利益が相当出て、儲かる話となっていました。
しかし、バブル景気は終わり、次々に来る不況と、物価の値上がりとそして人口の減少ということから、不動産の価値は購入した時と売却した時では、さほど変化はなく値上がりすることはほとんどありません。物件周辺が再開発により、便利になったことにより、土地の値段が大きく上がっていれば、話は別ですが、ほとんどの物件は、時間が経つにつれて価値が、下がっていきます。
今回は損失を少なくするために税制面での優遇処置を記事にしたので参考になればと思います。


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