自宅売却した際に、減価償却はどうなるのかを解説。

今回は自宅売却における減価償却について解説します。自宅売却をした際の利益を譲渡所得というのですが、譲渡所得を求める際にこの減価償却で発生した値(減価償却費)が必要となってきます。そのため、ご自身で譲渡所得を計算しようと思った際には、今回ご紹介する減価償却の仕組みや計算方法を知っておくと、活用できます。それでは最後までぜひお読みください!

減価償却とは

減価償却について、最初に解説します。建物や備品、車両等といった土地以外の固定資産の価値を減少させていく手続きのことをいいます。例えば身近な例を出すと、PCは買った時と使用を続けて1年後とでは、PC本体の価値は下がっていますね。この原理が減価償却であり、時間と共に価値が下がるので、固定資産の価値も減少させていくというイメージです。そして、減価償却によって計上される費用のことを減価償却費といいます。

減価償却の仕組み

上記でPCについて触れましたが、例えばPCがこういう状態であったら金額をいくらにするというように決められているわけではありません。あくまで減価償却は会計上のルールですので、実際の劣化などは関係ありません。毎年等しく、同じ金額で価値を減少させていきます。最初に、土地以外という書き方をしましたが、土地は年数が経っても価値が落ちないという考え方をします。そのため、土地価格と建物価格に分類はするものの、最終的には建物価格だけを減価償却させていくことになります。

減価償却方法

減価償却には定額法と定率法があります。
まず定額法とは、固定資産の耐用年数中、毎期決まった均等額の減価償却費を計上する方法です。耐用年数とは、またこれも会計上のルールで決まっているもので、PC=4年というように、それぞれに付与されている使用可能年数のことです。

定額法による減価償却費(1期分) = 取得価額 × 定額法の償却率

この計算方法で求めることができます。

次に定率法とは、

一方で定率法とは、固定資産の取得費から減価償却累計額を差し引いた未償却残高に、毎期一定の償却率を乗じて減価償却費を計上する方法です。費用として計上される減価償却費は、毎年、低減していきます。

定率法による減価償却費(1期分) = 未償却残高 × 定率法の償却率

定率法のポイントとしては、定額法と比較すると資産の価値の減少が早いということです。

減価償却の計算方法

次に自宅売却における減価償却の計算方法について、解説します。
事業用(法人や投資用マンションなど)と非事業用(マイホーム、セカンドハウスなど)によって、減価償却の計算方法は変わってきます。

減価償却費 = 建物購入価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数

個人の自宅売却においては、上記の式を用いることが可能です。
月単位ではなく、経過年数という単位を用いることが特徴です。ちなみに経過年数とは所有年数を指しています。

耐用年数について

耐用年数とは、減価償却資産が利用に耐える会計上の年数のことです。ですので、例えばPC=4年の耐用年数の場合は、4年で減価償却を終えるということです。

定額法の償却率の場合(事業用)
償却率=1÷耐用年数の式で求められます。

例えば、耐用年数が20年の場合
償却率は 1÷20=0.05 となります。

ここに1.5をかけた値が、非事業用(マイホームやセカンドハウス)の償却率になります。非事業用の方が耐用年数が長くなるのですが、これはマイホームの売却において、なるべく税金を発生させないようにするという国の方針があるからです。

少し話が複雑になりますが、耐用年数が長くなると償却率が小さくなります。そして償却率が小さくなるということは、建物の取得原価がなかなか小さくならなくなります。そうすると取得原価が大きく算出されるので、売却の利益を指す譲渡所得が小さくなります。
譲渡所得は小さければ小さいほど、そこにかかる税金(所得税)も小さくなるので、結果的に節税に繋がるということですね。

そして自宅売却は、建物購入価格の5%までを残存価格として償却することが可能となっています。5%までとすることで発生する税金を抑えることができるよう工夫されています。

自宅売却においては、通常発生する税金が免除される制度などが多数存在しているのですが、今回の減価償却についても、優遇措置があるということですね!これは、自宅売却は決してお金儲けのために行うことではないからです。マイホーム乗り換えのための売却の場合や、売却利益が3,000万円以下である場合など、免除制度はバリエーション豊かなのでぜひ確認してみてください。

まとめ

今回は、自宅売却における減価償却について解説しました。譲渡所得を求める際に、減価償却費がわかっていれば簡単になりますので、ぜひ一度ご自身で計算されてみてください。今回ご紹介したものは自宅売却に限った話であり、事業用と非事業用とでは、減価償却の仕組みや計算方法が異なってきますのでご注意ください。それでは最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考:https://www.home4u.jp/sell/juku/course/sell-81-12808