売却後にかかってくる5つの税金。 流れとともに徹底解説。

相続した不動産を売却するとき、いつまでにいくら必要な税金があるのか、そもそもどんな税金がかかるのかがよく盲点として上がるのが、相続した不動産を売却時に必要となる税金や必要書類です。
また、相続人同士で協議する時間も必要となるのでお金だけでなく時間もかかりますし、共有することも重要になります。
こちらでは相続後に不動産を売却するときの流れと必要な税金の種類を説明していきます。

相続手続きの流れと必要書類について

親戚関係を含めた、大切な人がなくなったときに、発生する相続についての手続きを把握している人は少ないのでしょうか。不動産を相続する場合はするべきことが非常に多いです。相続税の申告期限である10ヶ月はあっという間に迫ってきます。「手続きを急に言われても困る!」とならないように事前の準備は必須です。
相続が発生したときに、どのような手続きが必要となるのか、全体的な流れを掴むことが大切です。
5つのポイントにわけて流れを説明していきます。

  • ポイント1.相続する財産と被相続人
  • ポイント2.書類で必要なもの
  • ポイント3.遺産分割を協議する
  • ポイント4.相続財産の名義を変更
  • ポイント5.相続税の申告と納付

【ポイント1】相続する財産と被相続人

まず、被相続人が亡くなったら、

死後7日以内に死亡診断書とともに死亡届を役所に提出する。

公共料金の解約・名義変更、金融機関への連絡や公共料金の解約・名義変更、葬儀や、世帯主の変更届、などのたくさんの手続きはすることも必要なことになります。しかし相続の手続きや話し合いも実行していかなくてはなりません。
遺産の確定、相続人の調査、遺言書の確認と、確実に進めていきましょう。相続の専門家に委託するのもかしこい手段です。すべての相続人が納得する相続は可能性が非常に低いです。親族間のトラブルにもつながる可能性があるため丁寧に確認しましょう。

◉遺言書の確認

相続においては、故人のことを相続されるという意味で「被相続人」と呼びます。被相続人の遺言書の有無によって、その後の手続きが大きく変わります。まずは遺言書が遺されているかどうかをチェックしましょう。遺言が見つかった場合の注意点が1つあります。
遺言書は勝手に開封してはいけません。
遺言書の偽造や複製を防ぐために家庭裁判所で「検認」手続きをする必要です。遺言書は勝手に開封しないように注意しましょう。

法定相続人の調査、確定

遺言書がなかった場合には、誰が相続人となるのかを調べるために、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や除籍謄本を取得します。親、子、兄弟姉妹、養子など親族関係となる人をすべて確認して、相続人を確定させます。

常に相続人⇨配偶者
第1順位⇨死亡した人の子供、もしくは代襲相続人となる孫・ひ孫
第2順位⇨死亡した人の直系尊属(父母や祖父母)
第3順位⇨死亡した人の兄弟姉妹、もしくは代襲相続人となる甥・姪

相続財産の調査、確定

次は相続財産を調べます。この記事では”不動産”の相続の流れとして説明をしていますが、相続財産には不動産以外のものも含んで計算する必要があります。代表的に大きな資産と言われるものが預貯金と不動産の2つです。プラスの財産であれば問題ありませんが、借金や住宅ローンなどマイナスの財産も含みます。プラスとマイナスの財産となる例をみてみましょう。

・プラスの財産 預貯金、貴金属、不動産、株式などの有価証券、宝石など
・マイナスの財産
税金、住宅ローン、カードローンなどの借金など

【ポイント2】書類で必要なもの

相続手続きには多くの書類が必要となってきます。必要になるので時間がかかることも想定されます。早い段階で準備することがおすすめです。

  • 相続人全員の戸籍謄本(被相続人が亡くなった日付以降のもの
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 被相続人の戸籍謄本(出生時から死亡時まで)
  • 被相続人の住民票の除票(本籍記載のあるもの)
  • 遺言書もしくは遺産分割協議書
  • 対象不動産の登記事項証明書
  • 相続する人の住民票
  • 固定資産評価証明書
  • 相続人全員分の住民票の写し

【ポイント3】遺産分割を協議する

法定相続人と相続財産が確定したら、遺産分割協議に入ります。遺産分割協議とは、相続人間で行われる遺産の行き先を決める会議のことを言います。この協議は、後にご説明する「遺産分割協議書」に相続人全員の署名捺印があれば、必ずしも直接会って決める必要はありません。

遺産分割の協議は、ポイント1、2の法定相続人、相続財産が確定しないとできません。遺産分割の協議とは、相続人間で行われる遺産の行き先を決める会議のことを言います。

遺産分割協議書の作成

協議が終わり分割内容が確定したら「遺産分割協議書」を作成します。形式や書式はありません。
土地や建物などは、登記簿謄本に記載されている通り、正確に記載してください。なお、この書類は、相続人すべてが署名捺印する必要があります。

遺産分割協議における注意点

遺産分割協議は裁判外での話し合いの場となるため、法はありません。また、「確定しなければならない」という期日はないです。関わっている方が納得するまで、話し合いを進めることができます。

一方、法的な縛りがないので、強制力があまりないということになります。遺産分割協議は、最終的に相続人全員が署名捺印をする必要です。中々協議が進まない場合には、家庭裁判所において遺産分割調停を申し立てることもできます。念頭においておきましょう。

【ポイント4】相続不動産の名義を変更

ポイント3までの流れを経て、相続不動産の相続登記をします。相続した場合、元にある被相続人の名義だったものを、相続人の名義に変更することです。
一般的に、相続登記は司法書士等の専門家に依頼するケースが多いですが、以下の流れで必要な書類を提出しましょう。

相続登記の申請の流れ

  • 相続する不動産の登記事項証明書を取得
  • 遺産分割協議書の作成
  • 相続登記申請書の作成
  • 相続登記申請

相続登記に掛かる費用としては、必要書類の数によって異なります。登記事項証明書や住民票など必要書類の取得費用として10,000円程度です。また司法書士に依頼する場合は司法書士報酬が10万円程度になります。 不動産の数、書類によって金額が変動しますので司法書士に依頼する場合は見積もりした方が良いでしょう。

【ポイント5】相続税の申告と納付

最後の手続きとして、相続の発生から10カ月を期限に相続税の申請及び納付を行います。申告期限を過ぎたり、納税額が不足していたりすると、延滞税や加算税がかかることがあります。

相続税には基礎控除額があり、差し引いて残った金額に対して相続税が課せられますが、遺産総額が基礎控除額よりも少なければ申告の必要もありません。詳しくは次章で説明してまいります。

最後の手続きとして、10ヶ月を期限に相続税の申請、納付を行います。注意することは延滞税、加算税がかかることにあります。申告期限、納税額には注意しましょう。

不動産を相続時に発生する税金

相続することで発生した税金のことを「相続税」と呼びます。
相続税は預貯金や不動産など相続した財産の総額に応じて課税される税金です。相続税の基礎控除を超える場合にのみ発生します。遺産の課税価格が、

基礎控除とは、国税庁が定めた税金がかからない金額の範囲のことです。基礎控除額は、次のように計算します。

3,000万円+600万円×法定相続人の数

相続税以外にも、相続した不動産を売却したときにかかる5つの税金があります。

  • 住民税
  • 譲渡所得税
  • 登録免許税
  • 印紙税
  • 復興特別所得税

登録免許税

相続登記(相続した不動産の所有権を相続人へ変更する手続きのこと)を行う際にかかる税金で、税率は不動産価格の0.4%になります。

印紙税

印紙税とは、経済取引で作成する文書に対して課税される税金のことです。税額は売買代金に応じて〜10万円程度です

譲渡所得税

譲渡所得税とは、不動産を売却して得た利益(譲渡所得)に対して課税される所得税のことです。税率は譲渡所得の30%〜15%です

住民税

税率は譲渡所得の9%〜5%です。

復興特別所得税

復興特別所得税とは、東日本大震災からの復興に必要な財源の確保をするための税金です。令和19年まで所得税の税率に2.1%が加算されます。

税率は譲渡所得の0.63%または0.315%です。

まとめ

いかがでしたか。相続というものはかなり時間がかかりますし、お金もかかります。相続人同士が集まる機会は少ない方が多いのではないでしょうか。たくさん相続人がいる場合には、一度タイミングを逃してしまうと交渉や、共有が不十分になります。だからこそ準備を怠らず、準備しておくことが大事です。相続問題は複雑です。大きなトラブルになる前に弁護士、司法書士、専門家に相談すると良いでしょう。