自宅売却での値下げ交渉

目次

  1. 値下げ交渉のポイント
  2. 金銭面以外のテクニック
  3. 売り手側が有利に進めるには
  4. まとめ

値下げ交渉のポイント

 売り手側は、少しでも高く物件を売りたい。買い手側は、少しでも安く物件を購入したい。このような思考になるのはごく当たり前のことで、決しておかしなことではありません。ましてや不動産売却はとても大きな金額が動くものであり、数万〜時には数百万に及ぶ場合も。そのため、不動産売買の際にはほぼ必ずといっていいほど値下げ交渉が行われているんです。値下げ交渉を見越して、売り出し価格をあえて高めに設定しているケースも見受けられます。この際、重要になってくるポイントについていくつか説明しようと思います。

⑴値下げのタイミング

 値下げ交渉は、基本的に買い手側が行うものです。買い手側が物件を購入しようとするときには、その人の希望条件と購入意思が記載される「買付証明書」と呼ばれる書類を記入して、仲介会社を通して売り手側へ提示されます。買付証明書に書かれている項目は下記のようなものがあります。

 これを提出する時が一般的な価格交渉のタイミングです。また、売り手側のタイミングとしては、売り出しを始めてから2ヶ月が経過してもなお購入希望者や問い合わせがない場合、値下げを検討するのがいいとされています。物件を売り出してから、その物件情報が登録されて宣伝されるまでは最低でも1ヶ月はかかると言われているので、売り出して間もないタイミングでされた値下げ交渉は応じない方が懸命です。宣伝されれば知ってもらう機会が増えるので、そのまま価格で購入してくれる人が現れる確率が上がります。逆に早く値下げしてしまうと、交渉次第ではもっと下がるかもしれないと、さらに値下げ交渉をしてくる可能性があり、買い手側に有利なペースになってしまいそうです。競合物件が多く売りに出されている時や、近隣の極端に安い物件が売りに出されている時、築年数の節目を迎える時などは、値下げのタイミングとしてはあまりよくないので、時間をおいた方が良いです。

⑵値下げの価格設定

 買い手側は、できる限り安く購入したいため、法外な値引きを要求してくるケースがあります。この時、値下げ額は極力最小限になるように、提示する金額を少なくすると良いでしょう。買い手側に購入の意思が強くあるならば、きちんと値引き額を考え直して再度交渉にきます。この流れを繰り返して、お互いに納得のいく金額を探すのが良いです。ただ、あまりにも常識外な値下げ希望の場合は仲介会社のほうで調整されるでしょう。基本値下げの額は物件の売出価格にもよりますが、一般的にはキリのよい額(50万円や100万円など)や端数部分(1,280万円ならば80万円の部分)を下げることが多いです。値引きの相場としては、2,000万円〜3,000万円の不動産の場合、100万円〜200万円ぐらいとされています。仮に下げる額が少ないと効果が見込めませんし、反対に大きすぎると、何か良くない事情があるのだろうか、と相手を嫌な気持ちにさせてしまうので注意が必要です。 また、値下げ交渉は価格面以外の、条件を考慮したテクニックもあります。次の項目ではそれらを説明しようと思います。

金額面以外のテクニック

もし、値下げ交渉に応じる場合でもその代わりに条件を提案することができます。ここでは4点紹介していきます。

⑴引き渡しの時期を延ばす

 例えば、売り主側が住み替えをするため、という理由での売却を考えている場合、売却予定の物件から引っ越すための時間が必要になってきます。物件を空の状態にしなければならないので、売り主側としてはある程度余裕があったほうが助かるケースもあるでしょう。自身の事情を考慮して、引き渡し時期を交渉材料に利用するのも1つのテクニックです。

⑵現況渡しにする

 値下げに応じる代わりに、現況での引き渡しにするという交渉テクニックがあります。例えばマンションや戸建てなどの建物の売却で見ると、市場販売価格での売却の場合はエアコンやカーテン、照明などの残置物を撤去する予定だったけれど、値下げに応じる代わりに現況渡しにする、という条件にすることができます。建物内に残された不要な家具・家電などの残置物が多い場合、撤去するには業者探しの手間と費用がかかるでしょう。この条件下なら、万が一それらが故障した場合の取り外しや新規取り付け費用は、すべて買い手が負担することになり、売り手側の負担を軽くすることができるため、非常に有効です。

⑶手付金を多めにしてもらう

 手付金は、解約手付の意味合いを持つことが多いです。通常の不動産売買契約では、契約時に現金で買い主から手付金を受け取ります。手付による解除を行う場合、売り手側は、受領した手付金の2倍を返還すること、一方買い手側は、手付金を放棄することによって契約の解除ができるので、手付金の金額が低い場合、買い手側が手付放棄による解約がしやすくなってしまうので、それを防ぐために金額を多めにしてもらう、という交渉も有効な手法の1つです。

⑷契約不適合責任期間を短くする

 契約不適合責任とは、万が一引き渡しをした物件に隠れた欠陥があった場合に負う責任のことです。民法上では、原則引き渡しから2年以上と定められていますが、個人が売主である場合、特約によってその期間を短くしたり、無くしたりすることができるので、値下げに応じる代わりの交渉材料の1つとして使えます。ここまで、様々な値下げ交渉のポイントを説明しました。では、これらのポイントを踏まえて、実際値下げ交渉をされた際、売り手側が有利に進めるためのテクニックや心構えを次の項目で説明しようと思います。

売り手側が有利に進めるには

 正しい評価に対して適切な価格を守るためにも価格の交渉は大事です。買い手側に言われるがままにしてしまい後悔しないためにも、細かなテクニックやセオリー、その際の心構えを抑えておきましょう。

 まず、はじめにもちらっと触れたように、値下げ交渉をされることを想定して、あらかじめ売却希望価格よりも高めに価格を設定すると良いです。とはいっても、あまりにも高く設定してしまうと買い手側も興味を示さず、結果後で値下げをすることになってしまうので、初めは業者と周囲の相場を十分に検討して、価格設定をすると良いでしょう。売り出し希望価格よりも150〜200万円程度高めに設定しておくことをおすすめします。その価格で購入希望者が現れれば、その高めに設定した価格が基準となり、値引き交渉をされても、最終的には売却希望価格までの間に収めることができます。

 それから、購入希望者に値引きの上限額をきちんと提示しておくことも大切です。そうすることで確固たる意志を売り手側に伝えることができるので、無茶苦茶な価格交渉は少なくなるでしょう。できれば、売り出しを開始する前に売却を依頼した不動産会社の担当者と相談して決めると良いです。同時に、売り手側が最高でいくらまでなら出せるのか、を事前に聞いておくのも良いでしょう。もしかしたら買い主側の購入希望金額が限界値ではない可能性があります。値下げに悩んだときには、買い主がいくらまでは出せそうかといった感触を仲介業者に聞いてみるのも良いです。また、いきなり購入できる最高額を尋ねてしまうと、買主側が気分を害してしまう場合もあるので、ある程度の交渉を経て互いの信頼関係ができてから提案するのが良いです。

 次に、心構えについてですが、値下げ交渉はごく当たり前のこと、という認識を持ち、そこで感傷的になって大事な制約を逃す、といった勿体無いことをしないように気をつけてください。そして、決して売り手側が下手に出る必要はございません。現状、買い手側がお客様なので、失礼に値しないようなるべく要望は聞かなければ、と考え多少無茶な要望にも応じてしまう、というケースが多いですが、その必要はありません。買い手側は事前に何件もの物件を見てきており、その価格でその物件に対して購入したいと思うからこそ購入申込をしているので、少なくとも買う意思があることには間違いありません。あくまで、どうせ買うなら安く購入したい、と値引き交渉をしているのです。何件も見てその物件を選んでいるので、また代わりを探す、となったらなかなか大変です。極力そこで制約したい、と考えるはずなので無理に応じる必要はないでしょう。一般常識範囲での礼儀・礼節は大事ですが、買い手と売り手が同じ高さ、同等の立場で価格交渉を行うことが、本来あるべき姿と言えます。

 それから、どうしても売らなければならない、という状況下だとしても、買い手側にそれを勘付かれないように振る舞うことも大切です。気づかれてしまうと、そこを利用されて上手いように相手のペースに持ってかれて強引な交渉をされてしまいます。売りたい、という気持ちはとにかく抑えて、常にお互いが対等な立場で、公平な取引を行うことを心がけてください。

まとめ

 不動産売買には、基本的に値下げ交渉はつきものになってきます。そのため、それを見越して、査定価格より高めに金額を設定したり、自身の値下げ可能上限をあらかじめ考えておいて、それを買い手側に伝えるなどの対策をすると良いです。また、金額面以外の交渉テクニックも上手く活用すれば、値下げ交渉に応じる場合でも良い条件で取引ができます。値下げ自体も、売り出してまもないタイミングでは控えておいて、2〜3ヶ月経過しても物件が売れなかった際、検討すると良いでしょう。もし、買い手側にめちゃくちゃな値下げ交渉をされたり、どのくらいの基準で値下げをすればいいのかがわからない場合は、信頼できる不動産会社に相談しましょう。


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