自宅売却での測量

目次

  1. 自宅売却の際の測量は義務?
  2. 測量の基礎知識
  3. 測量が必要なケース
  4. 測量の流れ
  5. まとめ

自宅売却の際の測量は義務?

 自宅を売却する際には、測量をして所有している土地の面積や形状を明らかにします。測量とは、土地の高低差や面積などを機械を使って測り、それを図面に表すことで、複数の種類があります。自宅売却の際の測量に関しては、法律では定められておらず特別義務はありませんが、行わないと隣接する土地の所有者と土地の大きさで意見の相違により近隣の人達とのトラブルになってしまったり、正しい査定を行うことができず、売却価格に影響を及ぼしてしまう可能性もあります。測量を行うことで、所有している土地の面積が予想よりも大きく、売却価格がアップするといったメリットもあります。行動自体が買主にとっての安心材料にも繋がります。現在では、測量機器の進歩によって正確な測量が可能になり、古い時代の信頼のおけない面積ではなく新しい技術による測量で正確な面積を知ることは、取引における様々なリスクを避けるためにもとても重要です。売却価格を決める際、正確な土地の面積はとても重要な資料になります。
 測量の大きな目的は、面積の確定と境界の確定の2つです。面積に関しては、法務局で取得できる、登記簿謄本を用いて確認することができます。土地は、建物を建てたり、取り壊されたり、隣地所有者が変わったりする中で、利用状況が次々と変化します。いったん登記されても長い年月が経つと隣地との境界が曖昧になり、面積や形状が登記した当初の状況と変わることもあるので測量が重要になるでしょう。
 では次の項目では、測量の図表など基礎知識について説明しようと思います。

測量の基礎知識

まず、測量によって作成される図表は以下の3種類です。

現況測量図は、大まかに土地の広さを測量しただけのもので、非常に簡易的なもののため、取引時にはさほど効力を発揮しません。あと、隣接地の持ち主との立ち会いはありません。地積測量図は、法務局に登録されている測量図で、公的な測量図として知られていますが、登録された時期が古い場合、隣接地との合意がないまま作成されているケースもあります。そのため、場合によっては正確でない可能性があります。こちらは、場合によっては隣接地の持ち主の立ち会いも必要です。確定測量図は、測量のプロが調査をして、土地の広さを確実に割り出した測量図で、具体的な土地の大きさを測りたいと思っている人に最適です。こちらも隣接地の持ち主との立ち会いはありません。確定測量図ならば、土地の持ち主と隣接地の持ち主、さらにプロが1番正確に境界と面積を割り出しているので、隣接地とのトラブルも避けることができるため、土地売却の際はおすすめです。

 次に、測量の際にかかる費用を説明します。現況測量の場合、土地の広さや形によって異なりますが、一般的には100坪以下の土地で約35万〜45万円の測量費用が発生します。一方、確定測量では、国や自治体保有の土地に接している場合は60〜80万円、個人所有の土地に接している場合は30〜50万円の費用が基本的にかかります。また、個人所有の土地に接している場合は査定がスピーディーかつ携わる人員も少ないので、比較的安いコストで行うことができますが、国や自治体保有の土地に接している場合は、費用だけではなく査定日数も長くなるので、自宅売却を試みる際は引き渡し日も考慮して早めに依頼をしておくと良いです。

 測量の依頼方法についても説明します。測量を行う場合、測量士または土地家屋調査士に依頼します。測量士は、測量と図面の作成は可能ですが、登記に関する業務はできません。一方、土地家屋調査士は、測量・図面作成に加えて登記に関する業務も可能なので、登記が目的の測量や境界の確定などに関しては、土地家屋調査士に依頼すると良いです。土地の測量を依頼する際は、基本は土地売却の仲介を担当する不動産会社から紹介を受けるのですが、自分で専門家を探して依頼することも可能です。測量を行う業者を選ぶ際は、相見積もりを行ってから最終的な依頼先を決めるようにすると、最も安い費用で行ってくれるところを見つけることができます。

次の項目では、測量が必要になるケースについて説明しようと思います。

測量が必要なケース

 測量は、不動産売却において義務ではありませんが、地価や境界の問題から、行わなくてはならないケースも出てきます。ここでは5点紹介します。

⑴一等地の場合

 一等地とは、条件が良く人気の高い土地のことで、わずかな面積の違いが地価に多大な影響を与えてしまいます。ときには数十万円もの価格差が生じてしまうこともあるので、審査に出す前に確定測量を行うのが良いです。

⑵境界杭がない場合

 境界杭とは、隣接地との境界を示す杭のことで、取引の対象になっている土地に境界杭がない場合、自分の土地の範囲の把握ができず、土地売却の妨げになってしまうため測量をする必要があります。中には、以前は存在していたが、地面の下に埋もれてしまったり、抜き取られたりしてしまい、その役割を果たせなくなってしまっているケースもあります。その場所が明確に把握できているならば、それを掘り返すことで境界を明らかにできますが、見つからない場合は新たに確定しなくてはなりません。

⑶境界に塀やフェンスなどが敷設されていない場合

 塀やフェンスなどは、境界の目安となるため敷設されていない際は測量をしなければなりません。また、以前敷設した塀やフェンスが、何らかの理由で損傷、撤去されてしまっている場合も同様になります。また、確定測量以降に境界が変化している可能性もあるので、土地売却後のトラブルを未然に防ぐために、きちんと区画が分かるように再設置や敷設を行い、境界確定をして改めて土地の区分けをはっきりさせると良いです。

⑷市街地の場合

 必ず、というわけではありませんが、農地や森林などが見られず人家や商店・ビルなどが立ち並んだにぎやかな土地、いわば都会・都市部・都心などの市街地の場合は、他の土地と比較して、1㎡あたりの単価が高く少しの誤差が大きな影響を及ぼすことや、隣地との境界争いが起こりやすいことから、測量が推奨されております。

⑸抵当権を設定しようとしている場合

 正確な土地の面積がわからないと、評価額も正確に出ないため、測量が必要になります。また、土地の1部分だけに抵当権を設定したい場合においても、土地の分筆登記をするために測量が必要です。抵当権の設定は、測量を行ってから登記をすることになるので比較的時間がかかるため、早めに行うのが良いでしょう。
 これらのケースに該当する場合は、測量を行ってください。では、次の項目では実際の測量の流れを説明します。

測量の流れ

不動産売却で測量を行う際、原則以下の7ステップの流れで作業を行います。

 一つずつ詳しく見ていきましょう。まず、土地家屋調査士に測量を依頼する場合は、管轄の法務局や不動産会社に相談すれば紹介してくれます。おおよその所要期間は1〜2日です。

 資料集めに関して、隣接地の持ち主の過去の境界に関するトラブルがあるかの調査や、測量の見積もりの算出のため、登記簿謄本・地積測量図・公図・共同担保目録・建物図面といった書類が必要になります。これらの書類は市役所、法務局で入手することが可能です。おおよその所要期間は1週間となります。

 次に、挨拶に関してです。測量では隣接地に入り込んだり、立ち合いをお願いをしなくてはなりません。事前に隣接の所有者や行政・市町村の担当者への挨拶と測量内容を説明して立ち合いの了承を得ておくと、非常にスムーズに測量を行うことができます。日頃から隣接地の持ち主と良好な関係を築いておくことで、土地測量時も相談しやすくなります。土地売却を思い立ったときからでも遅くはないので、気持ちよく話せるように関係性を築いておくと良いでしょう。

 隣接地の持ち主から了承を得たら、土地の事前調査を行います。法務局や役所で入手した登記簿謄本や公図等の資料を参考に、境界杭や塀、フェンスの敷設状況の確認や、仮の境界杭の配置などの作業がこのときに行われます。また、現況測量図はこの時点で作成されますが、あくまで仮のものなので、このタイミングでは隣接地の持ち主へ立ち合いを依頼する必要はありません。

 事前調査が済んだら、ようやく関係者全員の立ち合いのもとに境界を確定します。仮の境界杭の配置点を確認し、立ち合い人が納得した場合に境界確定の承諾書を受け取ります。原則、関係者全員の承諾を受けられない限り、境界確定の承諾書を受け取ることができません。 

 細かい分析や調査によって境界が定まったあとは、該当する場所に境界標という杭を打ち込み、正式に区分けを行います。これによりどこからどこまでが自分の土地になるかを明確に示すことが可能です。境界標の打ち込みの際には隣接地の所有者も立ち会い、それぞれの意見も参考にしつつ、慎重に杭の打ち込みを行います。境界杭を敷設するときには、将来境界杭が不明瞭になるリスクをなくしておくことも大切で、杭がなくなってしまっても確認ができるよう、図面や境界確認書といった形で書面に保存されていなければなりません。

 測量が終了して境界線が確定したら、土地家屋調査士が作成した、確定測量図と隣地所有者同士が合意したことを示す境界確認書を作成して、隣接地所有者全員に署名押印してもらえば、作業は終了です。

 このような流れで土地の境界が確定し、土地の売却が可能になります。

まとめ

 測量は、法律上義務化はされておりませんが、予想よりも売却価格が上がる可能性がある、などといったメリットや、近隣住民とのトラブル回避にもなります。スムーズに行うために、測量時の流れや注意点・発生費用などをしっかり抑えておくと良いです。是非検討される際は参考にしてみてください。


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