住宅の耐用年数が超えていても売却できる?

目次

  1. 住宅の耐用年数とは?
  2. 耐用年数を超えていても売却はできる?
  3. 耐用年数を超えている住宅を売却する方法(家に価値がある)
  4. 耐用年数を超えている住宅を売却する方法(家に価値がない)
  5. まとめ

住宅の耐用年数とは?

家の価値というのは、年々下がります。家の価値が0円になるまでの年数を「耐用年数」と呼び、建物の構造によって、築何年まで価格が付くかというのが、法律上で定められているんです。一般的には以下のように定められています。

上記に記載している耐用年数は住宅用の建物の耐用年数になります。事業用などの用途によっても耐用年数は変わりますし、管轄となる税務署によってそれぞれ決められています。ここで記載しているのは、東京都主税局で定められている耐用年数です

参考)「償却資産の評価に用いる耐用年数」
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shisan/info/taiyo_nensu.html

この「耐用年数」が住宅売却をする際に、大きく関係してきます。では、どのように住宅売却と関わってくるのかを、見ていきましょう。

耐用年数を超えていても売却はできる?

耐用年数を超えている不動産を売却することはできるのかということですが、結論から話すと、「売却することはできる」というのが答えです。

ただし、先ほどもお伝えした通り、一般的に家の価値というのは年々下がってしまいます。この家の価値が下がることを「減価償却」といい、その価値の下がり幅を「減価償却費」と呼びます。

減価償却費は、「減価償却費=物件の取得費(購入費用)×0.9×償却率×経過年数(築年数)」という計算式で求めることが可能です。「償却率」は物件の構造ごとに定められており、鉄筋コンクリート造は0.015、木造は0.031。例えば、3000万円で買った築20年の木造住宅を売る場合の減価償却費は、減価償却費の計算式に当てはめると1674万円となります。経過年数が年の途中の場合、6ヶ月以上の場合は切り上げて、6ヶ月未満は切り捨てて計算をします。

この減価償却費が高いほど、住宅を売却した際の売却益に課税される譲渡所得税が多額になってしまいます。「譲渡所得税」とは不動産の売却益が購入費用よりも高いときに発生するものです。

譲渡所得税の課税額は、以下の計算式で求めます。

譲渡所得税=課税譲渡所得×税率
※課税譲渡所得=譲渡価額(売却代金) -取得費(購入費用)-譲渡費用(売却費用)

この取得費が減価償却費と密接に関係しており、住宅を購入した費用から減価償却費を差し引いた金額が適用されることになります。
上記の計算式を見てもらうと分かるように、取得費が少額であるほど課税譲渡所得が増えることになるため、譲渡所得税が高くなる仕組みになっています。つまり、単純に築年数が1年古くなるだけで税金が高くなってしまうということです。

実は減価償却の方法には、「定額法」と「定率法」の2種類の方法が存在します。「定額法」とは、その名の通り毎年同じ金額が減価償却費として計算されます。これに対し「定率法」とは、償却費の額は初めの年ほど多く、年とともに減少する仕組みです。 減価償却する資産によってはどちらで計算してしていくのか選べますが、マイホームのような自分の居住用住宅の場合は原則として「定額法」を用いて計算することになっています。

耐用年数を超えている住宅であっても売却できますが、課税対象となる売却益が大きくなってしまうため、多くの税金を払うことになる可能性があることに注意しましょう。

耐用年数を超えている住宅を売却する方法(家に価値がある)

耐用年数を超えていたとしても、人が住むうえで構造などに問題がなければ、十分に売れる可能性があります。一般的に、家としての価値がある場合に有効な住宅の売却方法としては、不動産業者を使って「中古住宅として売却する」か、買取業者に「中古住宅として買い取ってもらう」の2つです。それぞれに関して詳しく見ていきましょう。

(1)中古住宅として売却する

家の状態は、メンテナンスを行うかどうかで大きく変わってきます。リフォームやリノベーション、外壁塗装、修繕、点検など、きちんと行なっていれば、築50年を超えていたとしても、そうは思えないほど良い状態の家もあります。何も手入れがされていない築30年の家よりも、手入れされている築50年の家の方が状態が良いというケースも多いです。そのような家であれば、中古住宅として不動産業者を使用して、仲介で売却できる可能性がぐんと高まるでしょう。

また、近年の古民家ブームがきていますので、木造住宅である場合は、古き良き日本の木造住宅に住みたいと考えている人も少なくありません。そのような人にとっては、手入れの行き届いた築50年の家は、自分の希望する家を安価で購入できるという魅力的な物件として購入を検討してくれることでしょう。

(2)中古住宅として買い取ってもらう

仲介で売りに出してみたものの、買い手が見つからないときには、買取業者に「中古住宅」として買い取ってもらう方法もあります。ただし、注意しなければならない点としては、買取での売却は、仲介のときと比べ、市場価格より3割ほど安い価格で売却することになってしまうことが挙げられます。中古住宅を買い取った買取業者は、リフォームなどをして再販することを考えているため、そこにかかる費用を考慮した上で買取価格を決めているためです。しかし、買取での売却には「3割安い価格で売ることになる」というデメリットだけではなく、「仲介手数料がかからない」「契約不適合責任がない」というメリットもあります。

買取の場合は、仲介での売却時と異なり、仲介手数料が発生しません。仲介手数料の上限額は、売買価格が400万円超えの場合だと「(売買価格×3%+6万円)+消費税」という計算式で算出されます。もし売買価格が2,500万円なら、89.1万円を上限額とする仲介手数料を支払わなければなりません。

また、一般的に売却して引渡し後に、契約書に記載されていない不具合や欠陥が見つかったときには、買主は売主に「契約不適合責任」を問うことができます。「雨漏りがしている」などが発覚すると、売却後であっても、修繕を求められることもあります。最悪の場合契約破棄ということもあるでしょう。築年数が経っているほど、不具合がある可能性が高いので、売却を行なった後も責任を問われる可能性を否定できません。

しかし、一般的に買取の場合には、契約不適合責任は免除されます。売却後の不安のタネが1つ減ることは大きなメリットとなるでしょう。

耐用年数を超えている住宅を売却する方法(家に価値がない)

長らく人が住んでいなかったなどで、手入れのされていない住宅を街で見かけた人もいるかもしれません。そういった手入れのされていない家だと、購入後、すぐに住むことができなかったり、リフォームやリノベーションが必要になるため、家としての価値がないとみなされてしまい、「中古住宅」として売却することは、ほとんど無理でしょう。では、家としての価値がなくなったらもう不動産を売却できなくなるかと言われれば、そういうわけではありません。家としての価値がない不動産を売却する際の方法について、見ていきましょう。

(1)古家付き土地 更地渡し可」として売却する

家としての価値がないケースでは、「古家付き土地 更地渡し可」として売却することができます。家を売るのではなく、土地を売るというイメージです。「更地渡し」は聞きなれない単語かもしれませんが、「売主の負担で建物を解体・撤去してから土地を売却すること」を指します。これは購入してくれるかもしれないターゲット層を広くとることができます。

1つめのターゲット層は、「中古住宅は不要で、土地だけが欲しい買主」です。この買主に対しては、建物の撤去の費用や手間をこちらで負担することで、購入してくれる可能性が高まります。

2つめのターゲット層は、「どれだけ古くてもいいからなるべく安く家を買いたいと考えている買主」です。「古家付き土地 更地渡し可」とすれば、古家を探している人にとっては願ったり叶ったりな物件であるため、こちらも購入してくれる可能性が高くなります。

(2)「古家付き土地」として売却する

(1)の更地渡しの無し版です。「古家付き土地」として家を売却すれば、買主は「古家が付いた土地」として購入するため、売主は取り壊しにかかる費用を負担しなくてもよくなります。また、土地は建物が建っている限り、「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税が6分の1になります。建物を取り壊して、更地にしてしまうと特例から外れてしまうため、買主がなかなか見つからなければ、高い固定資産税を負担し続けなければなりません。家が建っている土地の売却を考えている場合は、売却直前まで建物を残しておく方が、売主にとっては節税できるというメリットがあります。

(3)「更地」にしてから売却する

手入れがされておらず人が住めるような状態でない家や、建物の耐久性に不安のある家は、更地にしてから売却するほうがよいでしょう。更地にする負担は売主にかかってしまいますが、家を売却した後、買主が更地にする過程で、土地に危険物や汚染物が埋まっていることが発覚したときには、「契約不適合責任」を問われてしまうかもしれません。しかし、売主が更地すれば、建物に対しての契約不適合責任がなくなり、土地の実情を契約書に正確に記載できるというメリットもあります。

まとめ

耐用年数を超えていない住宅に関しては、減価償却費を計算することでいくらで売却できるのか分かります。自身の保有している不動産がいくらで売却できるのかを、あらかじめ計算した上で、慎重に検討しましょう。
また、耐用年数を超えてしまっている物件に関しては、建物の価値が0円として計算されてしまいます。築何年の物件を売却しようとしているのかあらかじめ確認しておきましょう。

築年数が経っていたとしても、家を売却できる可能性があります。本記事を参考にしていただいた上で、それでもわからなくて困っている方は不動産会社に相談してみましょう。売却を相談した不動産会社によっては、売却できないと断られる場合もあるかもしれませんが、複数の不動産会社に相談することで、住宅の売却に協力してくれる不動産会社が見つかるはずです。


【関連記事】

3000万円特別控除って?自宅売却する際に知っておきたいこと

住宅の耐用年数が超えていても売却できる?

扶養に入っている場合の自宅売却

自宅売却での値下げ交渉

自宅売却での測量

不動産売却の際の司法書士について

自宅を売却すると、本籍地や住民票はどうなる?

家を売却する時の相場はいくら?どうやって計算する?

認知症の親の不動産を売ることはできるのか。

リースバック方式での自宅売却