年金生活者の自宅売却

目次

  1. 年金受給者が自宅売却をすると…
  2. 年金受給者が自宅売却をする際の注意点
  3. 譲渡所得税の確定申告、やり方
  4. まとめ

年金受給者が自宅売却をすると…

 年金受給者が自宅売却をすると支給額が減額されてしまう、と言う話をよく聞きますが、実際のところそのようなことはございません。自宅を売却して、老人ホームに住もうとしていたり、子供と一緒に暮らそうと考えている人にとって、もし年金受給額が減ってしまったら大問題になってしまいます。そのような心配は基本ないのでご安心ください。年金には様々な種類がありますが、不動産売却による影響を心配しているのは「老齢年金」であることがほとんどです。

老齢年金には、年金加入者全員が受け取る「老齢基礎年金」と、企業で厚生年金に加入していた人だけが受け取る「老齢厚生年金」があります。会社員で厚生年金に加入していた人は、この両方を受け取っており、自営業者や個人事業主などは、「老齢基礎年金」のみになります。 また、厚生年金のひとつに「在職老齢年金」というものもあります。これは60歳以上の年齢で、働きながら(厚生年金を払いながら)厚生年金を受給するというものです。

この老齢年金の受給額は、年金に加入している時に支払った額によって決まるものであり、前年度の所得などに左右されることはありません。ではなぜそう考える人が多いのでしょうか?それは、60歳を超えてもなお働き続けており、厚生年金保険料を支払い続けている高齢者に対して、年金の支給額が減らされる、といった減額制度が存在するからです。年金は一般的には、高齢により体の衰えも激しく、働けなくなってしまった人を対象とする制度のため、元気で自由に働くことで収入を得られる人たちに渡す年金は少なくて良いだろう、と考えられています。

そのため、年金の受給対象になっても厚生年金保険料を払って働き続けている方々は、年金の減額対象となってしまいます。ちなみに、不動産売却によって譲渡所得が出た場合も収入が増えるので同様に減額対象になるのではないか…と考えられることも多いでしょう。しかし実際は、不動産売却の影響で年金が減ることはありません。

 自宅売却をしても、安心して年金を受け取ることができることがわかりました。では、その注意点は主に何があるのか、次の項目で説明しようと思います。

年金生活者が自宅売却をする際の注意点

  年金受給者が自宅売却を行う際には、一体どのような注意点があるのでしょうか?ここでは3点説明しようと思います。

 まず1点目は、譲渡所得税と住民税に関しては発生してしまう点です。不動産売却で譲渡所得が発生したとしても年金には影響ありませんが、税金に関しては年金受給者だからと言って免除にはならないです。ただ、売却した不動産がマイホームの場合、確定申告をしっかり行えば3000万円の特別控除を受けられるので、譲渡所得がそれ以下であれば実質所得税は発生せずに済みます。もし確定申告を怠ってしまうと、控除が受けられずに所得税がかかってしまうことに加えて、延滞税も発生してしまうので注意が必要です。

 2点目は、後期高齢者は国民健康保険料が値上がりされてしまう点です。これは、75歳以上の後期高齢者が自宅を売却する場合に該当し、その理由は、後期高齢者の国民健康保険料は、前年度の所得によって決定されるものであるからです。なので、不動産売却によって年金受給額が減った、という勘違いは実際ここから来ているものだと思います。受給額が減っている訳ではなく、支払う国民健康保険料が増えていることで手元に残る年金が減っている、ということになります。この影響で、年金が減ったから生活保護に入れるの?という疑問を抱く人もいらっしゃいますが、そもそも生活保護は年金が少ない、という理由だけでは入れないので難しいでしょう。

 3点目は、介護保険の負担が増える可能性がある点です。介護保険を利用する際には、一部において利用者負担がありますが、所得が増えるとその負担割合が大きくなる可能性が考えられます。基本的に、介護保険を利用する際の利用者負担は1割程度と言われておりますが、1年間の合計所得が220万円超えの場合、負担額が最大3割にまで上ることがあります。そのため不動産売却によって発生する譲渡所得が220万円を超えない場合でも、他の収入との合計が220万円以上になってしまった際は、負担額増額のつもりで構えていた方が良いです。

 以上が、年金受給者が自宅売却をする際の注意点となります。これらのことに十分に注意してください。さて、前述した譲渡所得のことなのですが、不動産売却でこれが発生すると年金受給者であっても確定申告をおこなう必要があります。次の項目では、そのやり方を説明していこうと思います。

譲渡所得税の確定申告、やり方

 一般的な流れとしては、特例が適用されるかの確認→譲渡所得税額の計算→確定申告書の作成→確定申告書の提出となります。それぞれのステップでの重要部分を説明していきます。

 まずは、譲渡所得税額の出し方についてです。その計算方法は、「譲渡価額−(所得費+譲渡費用)×税率」です。それぞれの言葉の意味は以下の通りです。

もしも不動産を購入してから年数が経ちすぎて取得費がわからない場合は、概算取得費の「売却代金×5%」を計算式に当てはめます。また所有期間が5年以下の場合は、30.63%の税率で計算してください。あと、前述したマイホームの3000万円の特別控除などがある場合、そちらも忘れずに引いてください。これらを計算すると、所得税や住民税を算出する譲渡所得が明らかになります。

確定申告では、これらの金額を計算して「譲渡所得の内訳書」や「申告書第三表(分離課税用)」に記入します。次に、各項目を計算します。譲渡価額は、売却価格+固定資産等精算金で算出することができます。所得費は基本、土地においては購入額、建物においては購入額から減価償却費を控除した金額を計算します。取得する際、仲介手数料や立退料、移転料、搬入費や据付費、建物等の取り壊し費用などがかかった場合は、それも取得費に加えることが可能です。建物の取得費は減価償却を計算します。その計算式は「建物取得費=建物購入価額-減価償却費相当額」です。この、減価償却費相当額は、「建物購入価額×0.9×償却率×経過年数」で算出できます。

 続いては、必要書類についてです。一般的な必須書類は以下の通りです。

 確定申告書に関しては税務署でもらうことができますが、国税庁のウェブサイトの「確定申告書等作成コーナー」でオンライン申告することもできます。オンライン申し込みは入力する金額を自動計算してくれるので、手書きに比べると便利です。記入方法がわからない、などの時も問い合わせ専用窓口から電話で確認することができます。手書きの場合、申告書は複写式のため、黒のボールペンで筆圧強めで書く必要があります。数字などを書き間違えた際は、その数字に二重線をひき、上下の空欄に正しい数字を書き込みます。最後に印鑑を押して提出しないと再提出になってしまうのでお気をつけください。

 確定申告書の提出方法に関しては、郵送・データを送る・税務署に持っていく、の3種類があります。記入方法などについてわからない点がある場合は、税務署に持っていき、その時に確認することができますが、例年、確定申告の時期は税務署が混み合います。提出の時間がかかり、密になりやすいため、自分で記入できた場合は郵送かe-Taxを利用するのがおすすめです。郵送の場合は、手書きの確定申告書か、国税庁のウェブサイト「確定申告書等作成コーナー」で作成した確定申告書を出力し、所轄の税務署に送ります。

 年金受給者で、不動産売買をして譲渡所得税の確定申告を行う際は是非参考にしてみてください。

 ただ、確定申告には「確定申告不要制度」という制度があり、適用されれば譲渡所得税が発生するケースでも確定申告が免除されます。公的年金がこれに当てはまり、

年金受給者の負担を軽くするために、上記の両方の条件に該当する場合は確定申告不要制度が適用されます。合わせて覚えておくと今後に役立つと思います。

まとめ

 年金の受給者が自宅売却をしてもその支給額が減額されることはありません。なぜなら、老齢年金の受給額は、年金に加入している時に支払った額によって決まるものであり、前年度の所得などに左右されることはないからです。しかし、75歳以上の後期高齢者の国民健康保険料は前年度の所得によって決定されますので自宅売却して所得を得るとその額が上がります。なので、決して受給額が減っている訳ではなく、支払う国民健康保険料が増えていることで手元に残る年金が減っている、ということになります。

 確定申告は、譲渡所得税が絡んでくると発生し、基本的には収支がプラスになった場合は必要、反対にマイナスになった場合は不必要になります。しかし、年金受給者に限っては、不動産を売却して譲渡所得を得たとしても確定申告が免除となる、「確定申告不要制度」と言うものがあり、これに該当するケースであれば譲渡所得税を得ても確定申告をせずに済みます。確定申告をする際は、まず初めにマイホームの3,000万円の特別控除、などの特例が適用されるかを確認します。そして、「譲渡価額−(所得費+譲渡費用)×税率」で譲渡所得税額を計算し、それをもとに確定申告書を作成、提出という流れでやれば決して難しすぎてできないものではないので、損をしないためにも必要な方は実行してみてください。


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