生活保護の場合でも自宅売却は可能?

目次

  1. 生活保護を受けている人の自宅売却は可能?
  2. 保有が認められない不動産の種類
  3. 相続で土地を受け継いだ場合の生活保護について
  4. 高齢者世帯にはリバースモーゲージが優先
  5. まとめ

生活保護を受けている人の自宅売却は可能?

 「生活保護を受給しているものは自宅の売却ができない」このような話をよく耳にします。しかしこれは大きな間違いで、生活保護受給者でも自宅の売却は可能です。また、既存で土地を所有しているものが生活保護を受けることも、その所有している土地が生活するうえでかかせないものになるのであれば可能になります。所有している土地を売却して賃貸アパートに引越しでかかる家賃扶助額より、その土地を保有させた方が扶助額が安い場合等のケースでも、そのまま生活保護を受けられる可能性があります。既に別の場所で暮らしており、土地だけを別で所有している、といったケースの場合は、先に土地の売却を促され、生活保護の受給が認められないケースも。土地を売却して手に入れた資金がなくなってしまった際、再度申請をすれば認められる可能性が高くなります。

 そもそも、生活保護とは、経済的な理由から生活が困窮している人に対し生活保護費を支給し、最低限の生活を保証するといった制度で、「健康で文化的な最低限度の生活」ができない状態かつ以下の4つの要件に該当する場合、受給が可能です。

⑴心身が健康な場合は仕事をする

 生活保護は、必要最低限の生活に必要な価格を設定し、受給者の収入で不足している分をカバーする制度になるので、生活保護費を受給する人でも最低限働くための努力をしなければなりません。病気で働くことが出来ない場合は例外です。

⑵車や不動産などの資産を売却する

 生活保護を受ける場合、不動産や車、骨董品や美術品など、基本的にまとまった金額で売却できる資産は売却する必要があります。このとき、ベッド・衣類・洗濯機などといった日常生活に必要なものに関しては売却の義務はありません。なお、ある程度の期間生きていくための預貯金がある場合、生活保護ではなく、その貯金を使って生きていくように案内されます。また、資産価値が十分にある土地を保有している場合、長期生活支援資金貸付制度の利用により、不動産を担保にして月々の生活費を融資してもらうことが出来ます。

⑶親族からの援助を受ける

 親族に扶養してもらうことも要件の1つです。親族縁者がいてそこから生活費を援助してもらえる場合、生活保護を受けることは出来ません。ただ、もし親族が生きていたとしても、援助や扶養を拒否されれば、生活保護の申請が可能になります。

⑷年金をはじめとした各種制度を利用する

年金や給付金などの生活保護以外の制度を活用することも要件に入ってきます。例えば、会社を退職して収入が途絶えてしまった人に関しては失業給付をもらうことができます。生活保護は国が用意している、いわば最後の救済策なので、他の制度で生活を安定させられるのであれば、制度は利用できません。社会保障制度や給付金に関しては、国だけではなく県や市区町村の予算でも実地されております。そもそも、自身を救済してくれる制度があること自体を知らないケースも多々あるので、困った際は役所の窓口で相談すると良いでしょう。

 これらの条件に該当していれば生活保護を受けることが可能です。ただし、生活保護受給者が自宅売却を行い、そこで利益が発生した場合は、これまでに受け取った保護費を返還する必要があります。そのうえでまだ利益が残る場合は、保護費が減額、あるいは停止される可能性も。また、基準としてその利益が受給されている保護費の半年分以上の額になった際は、生活保護の受給が廃止になってしまう可能性も出てきます。停止の場合、一時的に保護が受けられなくなるのですが、廃止になると完全に保護が受けられなくなってしまい、売却によって得た資金が底をつき、再び受給を希望するとなった場合、再度申請をして厳しい審査を通過しなければなりません。そのため、生活保護を受け続けるまま自宅売却を行うには、売却代金を生活保護費の半年分以内に収める必要があります。

 このように、基本不動産を保有していても生活保護は受けられますし、保護を受けている状態での自宅売却も可能です。しかし、場合によっては保有が認められず生活保護を受けるタイミングで手放さなくてはならない可能性が生じる不動産もあります。次の項目で詳しく説明したいと思います。

保有が認められない不動産の種類

 原則、生活保護を受ける場合でも、不動産を保有し続けることは可能ですが、中には保有が認められず、手放さなくてはならない不動産もあります。ここでは3点紹介します。

⑴住宅ローンが残っている不動産

 生活保護費は税金で支払われているため、生活保護費でローンの返済をするということは、実質税金でその人の資産形成をしているのと同じになってしまいます。国民から集められた税金である保護費がローン返済に使われるのは適切ではないため、原則保有が認められません。しかし、住宅ローンの返済期間が短く、その金額も少額であれば、その土地に住み続けながら生活保護を受給できるケースもあります。生活保護の受給を認めてもらえる、住宅ローン残債の基準に関しては、各自治体によって異なります。

⑵固定資産税が高額な不動産

 売却すれば2,000万円をも超えるような資産価値が高い不動産の場合、一般的に売却を指導されるでしょう。また、住んでいる人の数に対して、あまりにも広すぎて資産価値が利用価値を上回ると判断された場合も、周囲の理解が得られないため、売却の対象になります。どうしても売却したくない場合、居住地の福祉事務所に相談すると、売却した後でも、その土地を借りて住み続けることができる、リースバックなどの方法を提案されることもあります。

⑶アパートなどの賃貸経営の不動産

 アパートやワンルームマンション等の貸家についても、売却を指導されます。ただし貸家でも、売却代金がおおむね3年以内の対象世帯の要保護推定期間における家賃の合計よりも高額であると認められた場合、保有することが認められる場合もあります。
 ここまでは、すでに土地を保有している人が生活保護を受けられるのかを紹介しましたが、生活保護受給者が相続によって後から土地を手に入れた場合、生活保護はどうなるのでしょうか?次の項目で説明していきましょう。

相続で土地を受け継いだ場合の生活保護について

 相続とは、亡くなった人(被相続人)にかかる死亡時点の資産や借金などを、亡くなった人と生前関係の深かった人(相続人:財産を相続できる人)が引き継ぐことです。相続で土地を手に入れた場合でも、生活保護を受け続けることは可能です。土地を相続すれば固定資産税が発生しますが、生活保護を受けている人は納税を免除することが可能です。しかし、先ほども説明したように、相続で譲り受けた不動産が資産価値の高いものである場合は売却して生活費に充て、これまでに受給した金額を返済する必要があります。そして、もしも保護が必要ないと判断された場合には、生活保護法第26条に従い、生活保護が停止または廃止されることになります。なお、預貯金や不動産、借金などの被相続人の全ての財産に関する相続権の放棄をする、相続放棄という方法もありますが、相続を受けるよりも生活保護を受け続けたい、という理由で相続放棄をすることは認められません。生活保護法では、生活に困窮する者が、能力や資産などを活用しても生活に困窮する場合、生活保護の対象になります。

 資産価値があるものを受け継ぐことで、保護から脱却できることが分かっているのにも関わらず、生活保護を受け続けたいがための放棄は原則できません。しかし、資産価値の低い不動産を相続した場合、相続放棄が認められます。もし、遺産相続によって生活保護の要件から外れてしまうと、相続税や固定資産税、維持管理費などが生じてしまい、かえって負担が増えてしまう可能性があることは念頭においておきましょう。

 また、もし相続した土地が売却された場合は、これまでに受給した金額の一部を返金する必要があります。その起算点は、相続開始の時点ではなく、元々の土地の持ち主が亡くなった時点です。そして、高齢者の場合、そもそも生活保護を受給するよりも良い方法があります。次の項目ではそれを説明したいと思います。

高齢者世帯にはリバースモーゲージが優先

 リバースモーゲージとは、要保護者向け長期生活支援金とも呼ばれ、申込者が単独で自宅を所有している場合に、不動産を担保にして金融機関からお金を借りるローンのことです。福祉事務所に生活保護の相談を持ち掛けた場合、年齢が65歳以上かつ保有する土地がある人なら生活保護よりもこちらが優先されます。リバースモーゲージでは、要保護の高齢者世帯に対し、居住用不動産を担保として生活資金を貸し付けます。その際の貸付限度額は、土地および建物の評価額の70%前後(集合住宅の場合は50%)、または生活扶助額の1.5倍となっており、保証人も不要なので利用価値は高いです。

まとめ

 生活保護を受けている人でも、自宅を売却することは出来ますし、自宅を保有している状態でも、生活保護を受けることは可能です。しかし、売却して利益が発生した際は、これまでの保護費を返還しなければならなく、利益額が大きいと、生活保護の停止、あるいは廃止になってしまうので注意が必要です。また、住宅ローンが残っている、などの条件では保有が認められず、手放さなくてはなりません。相続で後から土地を受け取った場合でも生活保護が切られるといったことはありません。相続した土地が売却された場合、これまでに受給した金額の一部を返金する必要があります。65歳以上の高齢者の場合は、リバースモーゲージ制度が優先されます。生活保護を受けている方で不動産売却を検討される際は是非参考にしてください。


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