自宅売却のキャンセルは可能なのか

目次

  1. 一度お願いしても取り止められる?
  2. 違約金が発生するケースは?また、しないケースは?
  3. 実際にキャンセルってどうやるの?
  4. 自宅売却のクーリングオフって出来るの?
  5. まとめ

一度お願いしても取り止められる?

 自宅売却を不動産会社にお願いしたのはいいものの、やはり気が変わったため取り止めたい、そう考えることもなきにしもあらずだと思います。特に自分が長年住んでいた家を売る場合は、売却を決めたものの、やはりこの家に住み続けたいと思うこともありますよね。果たしてそれは可能なのでしょうか?結論から言うと、不動産売却の途中でのキャンセルは可能です。売り手側、買い手側、どちらからでもキャンセル出来ます。もっと言うと、売買契約締結後でも売主・買主にやむを得ない事情がある場合はキャンセルをすることができます。不動産仲介会社に仲介を依頼した後は、通常、「売買契約の締結」と「物件の決済・引き渡し」を経て不動産売却が完了します。この間、広告出稿や買主様との手続きなどいくつかのステップがありますが、いずれのシーンにおいても仲介を依頼した後のキャンセルは可能です。ただし、媒介契約が専属専任媒介の場合は、自己都合でキャンセルできない場合があるので注意が必要です。

売買契約時に買主は手付金を支払いますが、買主都合の場合はその手付金を放棄することで、売主都合の場合は受け取った手付金の倍額を支払うことで違約金となり、契約がキャンセルされます。 何らかの理由でキャンセルをしなくてはならなくなった場合は、基本的には違約金等のペナルティが発生しますが、キャンセル自体は出来る、と言うことになります。でも、欲を言ってしまえば極力お金を支払わずキャンセルしたいですよね。次の項目では、どういった事例・タイミングで違約金が発生するのか、また、発生させないためにはどのタイミングでキャンセルするのがいいのか、を説明していこうと思います。

違約金が発生するケースは?また、しないケースは?

 自宅売却のキャンセルは、その契約内容や進行状況によって違約金の有無が変わってきます。まずは契約内容での違約金の有無についてです。自宅売却の際は、不動産会社と媒介契約を結んで売却活動開始となります。媒介契約とは、「不動産の売却活動を任せる代わりに、売却が成立すれば仲介手数料を支払う」というもので、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の3種類に分かれます。一般媒介契約とは、最も制約の少ない、一番自由度が高い契約で、複数の不動産会社と同時に出来る契約です。自身で購入希望者を探してきて、不動産会社を通さずに売買契約を結ぶことも出来ます。これにおいては、契約期間の規定が特に定まっていないので、いつでも解約をすることができ、違約金は発生しません。というのも、宅地建物取引業法によって買主との売買契約が締結されない限り成約手数料が発生しないと定められているからです。ただし、その際にこれまでにかかった広告費や宣伝費の実費支払を求められる可能性はあります。専任媒介契約とは、1社のみ契約を結んで行う媒介契約です。これも、一般媒介契約同様、自身で購入希望者を探してきて、不動産会社を通さずに売買契約を結ことは可能ですが、契約期間が3ヶ月間と定められているため、契約期間内のキャンセルでは違約金が発生してしまいます。専属専任媒介契約とは、専任媒介契約にさらに制限を加えたもので、複数の不動産会社と契約が出来ない点に加え、自身で購入希望者を探すことも不可で、必ずかならず不動産会社を通さなければならない、といった契約で、契約期間は3ヶ月間です。なので、契約期間内でのキャンセルは違約金が発生します。違約金の金額は標準媒介契約約款で定められており、売却できたときに支払う仲介手数料を上限としていることが多いです。仲介手数料は「売却価格×3%+ 6万円+消費税」(400万円超物件)で計算されるため、違約金の上限もこの金額となることが多いです。  次に、売却活動の進行状況での違約金の発生有無についてです。違約金が発生するタイミングは、買主と売買契約を結んだ後のキャンセルです。売買契約の締結は、売り手の、「家をうりたい」という思いと、買い手の、「家を買いたい」という思いが完全に一致した、という証拠になります。よって、売買契約を交わしてからのキャンセルは、既に決まった約束を白紙に戻してしまう、といった、とても問題のある行為となり、違約金が発生します。また、そのためには、買主の合意をいただくことも必要不可欠です。そして、その違約金の額は、手付解除期日と呼ばれる日を過ぎているかどうかで大きく変わります。手付解除期日とは、手付金の放棄によって契約を解除できる期日のことで、売買契約日から10日〜2週間後くらいが一般的です。手付解除期日前であれば、一度受け取った手付金を返還して、手付金の2倍の金額を買主に支払うことでキャンセルが可能です。しかし、手付解除期日を過ぎてしまうと、手付金だけではなく、違約金と仲介手数料の2つも支払わなくてはいけなくなってしまい、負担が大きくなってしまいます。一方、買主から買い付け申込書を受け取った段階や、買主による買い付け申込書に対して、受渡承諾書を出した段階、売買契約の日程段取りが終わっている状態などといった、書面での売買契約を結ぶ前のタイミングでのキャンセルの場合、違約金は発生しません。要は、なるべく早めの段階でキャンセルをした方がいい、ということになります。

 さて、キャンセルの理想のタイミングはわかったと思うのですが、実際どういう方法で行えばいいのか気になりますよね。そちらを次の項目で明らかにしていこうと思います。

実際にキャンセルってどうやるの?

 キャンセルの理想のタイミングがわかったら、その好機を逃さないようやり方を理解しておきましょう。まず、契約内容によってキャンセルの仕方が異なります。一般媒介契約の場合、電話1本入れるだけでいつでもキャンセルが可能です。不動産会社によっては、キャンセルを引き留められることもありますが、違約金等を請求されることはありません。一方、専任媒介契約・専属専任媒介契約の場合、書面でキャンセルの意志を伝える必要があります。というのも、法的には電話口でのキャンセルにも拘束力はありますが、不動産会社によっては「電話での解約は受け付けていない」といった対応をされたり、のちのち仲介手数料を請求されたりと、トラブルの元となることもあるので、書面での証拠を残しておいた方が良いです。書類を送る際には、内容証明郵便にて解約を希望する書面を送るといいです。内容証明郵便とは、誰から誰あてに差し出されたのかを謄本によって証明する制度です。内容証明郵便で送る書面には、以下のような内容を記載します。

書面での手続きは、契約期間満了後にキャンセルをしたい場合は必要ありません。期間が満了してから解約する場合は、更新前に「更新はしない」と担当者に伝えるだけで大丈夫です。更新は手続きを行わなければ継続されないので、「勝手に更新されてしまうのでは?」といった心配もありません。契約期間を満了する前にキャンセルしたい場合は、内容証明郵便での通知が必要ということになります。

 次に、売買契約後の場合における、キャンセルの流れについてです。基本的には契約は買主・売主双方で契約することなので、契約違反などの不義理がなくとも双方から解除を申し出ることが可能です。売主が、買主と売買契約を締結した後にキャンセルしたい場合は、媒介契約を結んでいる不動産会社に連絡をすることになります。キャンセルしたいと思った際は、媒介契約を結んでいる不動産会社に連絡し、担当者に相談してください。すると、売主がキャンセルを希望している旨を担当者が買主に伝えてくれます。不動産会社を通さず、売主と買主が直接やりとりをしてしまうとトラブルも起こしかねないので、まずは不動産会社に連絡を入れて、担当者に対処法をきちんと教わるのがいいと思います。
 ここまでで、キャンセルの内容は一通り説明しました。では、キャンセルは出来ても、クーリングオフは出来るのでしょうか?次の項目で明らかにしようと思います。

自宅売却のクーリングオフって出来るの?

 前述で、自宅売却のキャンセルが可能なことはわかりました。では、クーリングオフはいかがでしょうか?そもそも不動産のクーリングオフとは、購入者が購入申込の撤回(キャンセル)や売買契約の解除ができる制度のことを指します。しかし、結論から言うと、残念ながら自宅売却のクーリングオフは出来ません。不動産売却のクーリングオフが適用されるのは、不動産会社などの宅地建物取引業社が自ら売主となり、不動産を売却する場合となります。よく、全国の消費生活センター等に、「強引に勧誘され、安価で自宅を売却する契約をしてしまった」「解約したいと申し出たら違約金を請求された」「自宅を売却し、家賃を払ってそのまま自宅に住み続けることができるといわれ契約したが、解約したい」といった、自宅の売却に関する相談が寄せられています。契約の内容をよく理解しないまま、安易に売却の契約をしてしまうと後で後悔してしまうので注意が必要です。特に高齢者のこういったトラブルが多発しており、住む場所が見つからなくなってしまったり、解約の際に違約金を支払うことで生活資金が少なくなったりするなど、今後の生活に大きな影響が生じる可能性が大いにあります。よく理解しないまま契約をしないよう、わからないことは消費者センターに問い合わせる、などの手段を取りましょう。

まとめ

 自宅売却におきまして、キャンセルをすることは可能ですが、クーリングオフに関しては不可能です。また、キャンセルに関しても、契約内容や進行状況によって、違約金が発生するケースと発生しないケースに分かれます。契約内容で見ると、一般媒介契約の場合は発生しないが、専任媒介契約・専属専任媒介契約の場合は3ヶ月間の契約期間内でのキャンセルの際、発生します。進行状況で見ると、書面での売買契約を結ぶ前であれば違約金は発生せず、売買契約後のキャンセルは発生します。その上限は仲介手数料同様、「売却価格×3%+ 6万円+消費税」(400万円超物件)で基本計算されます。キャンセルの方法に関しても、契約内容で変わり、一般媒介契約の場合、基本電話1本でキャンセル可能です。一方、専任媒介契約・専属専任媒介契約の場合、内容証明郵便にて解約を希望する書面を提示する必要があります。要するに、一般媒介契約なら縛りもなく自由にキャンセルができ、専任媒介契約・専属専任媒介契約であれば、タイミングをしっかり見極めた上で解約をしないといけない、と言うことになります。売買契約後のキャンセルに関しては、金銭問題はもちろんであるが、相手との約束を破ってしまう形になるので、信用問題にも大きく影響を及ぼしてしまうと思います。きちんと事前相談をして自身で納得した上で売買契約を結んで、極力キャンセルが発生しないよう、相互にとって気持ちのいい取引を心がけていきましょう。


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