親が老人ホームへの入居を検討 自宅売却に伴う注意点

目次

  1. 親が老人ホームに入居するなら家は売却すべき?
  2. 老人ホームへ入居する際の注意点
  3. 自宅を売却する際の注意点
  4. 住民票はどうなる?
  5. まとめ

親が老人ホームに入居するなら家は売却すべき?

子供は、就職や結婚で実家から独立することが多いです。残された夫婦のどちらかが先に亡くなれば、一人きりで生活を送ることになります。まだ年齢が若ければ、悲しい気持ちはありつつも、残りの人生を楽しみながら生活することができるかもしれません。しかし、年齢を重ねるにつれて、日常生活を送る中で、今までできていたことが少しずつできなくなっていきます。子供からすると、親に一人暮らしをさせるのは心配になってくるものです。そこで、親を老人ホームに入居させることを検討するようになるでしょう。親が老人ホームに入り、今まで住んでいた家が空き家になってしまう場合、その住んでいた家は売却するのか、一旦空き家のままにして置いておくのか、どちらを選択すればいいのかを迷われる方は多いのではないかと思います。「親はもう家に戻らない」「子供も実家を引き継いで住む予定はない」など、老人ホームに入居したらもう二度と家に戻ってくることはない、戻ってきても子供と同居するかもしれないというケースもあります。しかし、老人ホームに入居したが、認知症の進行や病気の発症のために、退居させられる可能性もあります。そういった事態になった際に、困らないよう対策を慎重に検討しておく必要があります。
この記事では、「老人ホームへ入居する際の注意点」と「入居するに伴って自宅を売却するときの注意点」を説明していきたいと思います。

老人ホームへ入居する際の注意点

(1)自分の生活に合う老人ホームを選択する

老人ホームといえば、「特別養護老人ホーム」を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、デメリットとして入居までの待機が長いのが難点です。また、2015年4月の介護保険法改正により、長期入居対象者の基準が要介護3以上に引き上げられたことを受けて、介護度が軽度な方は利用しづらいのが現状です。要介護3以下の方が利用できる老人ホームには以下のような物があります。この中から自分にある老人ホームの種類を選ぶようにしましょう。

①有料老人ホーム

一般的に待機が少なく、数ヶ月以内で入居することができます。常駐スタッフによる介護が24時間受けられるのも嬉しいところです。2013年末の時点で全国8502施設もあるため、選択の幅が広いため、自分に合う老人ホームを探しやすいです。介護や食事、レクリェーションの内容の質が高く、お客様本位のサービスが提供されています。ただし、受けられるサービスが多いことから、特別養護老人ホームなどに比べて料金が高区設定されていることが多いです。

②サービス付き高齢者向け住宅

バリアフリー構造など一定の基準を満たした高齢者向け住宅になります。「高齢者専用アパート」とは異なり、介護・医療と連携し、高齢者をサポートしているところが強みです。空室があれば、すぐに入居できる施設が多いです。基本的に住宅と同じあつかいであるため、医師や看護師は常駐していません。そのため、重度の介護が必要な方には少し暮らしづらいかもしれません。また医療的依存度が高くなってしまった際は、退居しなくてはならなくなるかもしれません。

③グループホーム

認知症の方が9名程度の少数で住む施設になります。それぞれが協力し合いながら共同生活を送ります。空室があれば待機することなく、入居することができます。共同生活で性格が合わない人がいる場合、問題が発生する可能性が高くなってしまいます。医師や看護師は常駐していない施設になります。しかし、小規模な施設のため介護職員の目が届きやすく、臨機応変な対応が可能となっています。医療的依存度が高くなった場合、退居しなくてはならなくなる可能性があります。地域密着型のサービスとなるので、施設と同一地域に住民票がある必要があります。

(2)希望の条件に合う施設を比較する

情報を集める際、webや雑誌を使用して、口コミを見られるかと思います。もちろん口コミも有用な情報ではありますが、あくまでも主観で書かれているものであり、中には感情的に書かれているものもあるので鵜呑みにしてはいけません。それらで得た情報をもとに、実際に自分の目で見て、話を聞くことをオススメします。 比較・検討すべきポイントは大きく以下の2つになります。

①介護サービスの内容

有料老人ホーム、グループホームは24時間介護サービスを受けることができます。しかし、医療ケアについては、経営者の考え方や看護師などの配置により、それぞれの施設によるというのが現状です。主に施設で行われる介護、医療ケアなどのサービスは次の通りになります。施設を比較する際の参考にしてください。

介護サービスでは、「食事、排泄、入浴の介助」「移動・移乗の介助」「医療機関などへの輸送」。

医療ケアサービスでは、「バイタルチェック(血圧・検温)」「傷やケガの処置」「急変時の医師への連絡と処置」「喀痰吸引、経管栄養(認定を受けた介護福祉士がいる場合に限る)」。

「経管栄養」「インスリン注射」においては、家族及び本人以外が行うときは、「医療行為」となるため、看護師の配置状況によっては、入居できない可能性があります。医師が常駐している施設は多くはありませんが、急変時は嘱託医や協力病院と連携を取って対応してくれます。

②経営状況の見極め

特別養護老人ホームは社会福祉法人や自治体しか経営できないですが、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、グループホームは株式会社をはじめ、様々な企業が経営することができます。近年の高齢者の増加により、介護を「新しいビジネス」として、参入する業者が多くなってきています。しかし、その一方で、倒産する企業も増えています。自分の入居した老人ホームが経営破綻により、倒産してしまってはせっかく入居したのにまた他の施設を探すことになってしまいます。結論としては、長らく高齢者の入居施設を経営しており、長い時間をかけて職員の育成を行っている老人ホームを選びましょう。まずはWebや雑誌から情報収集を行います。そして、資料を集めたのちに、施設に足を運び、自分の目でみて確認することをおすすめします。また、紹介センターを活用するという方法もあります。

自宅を売却する際の注意点

老人ホームへ入居する方の名義の不動産を売却するときの注意点はいくつかあります。
その方の健康状態によるところだけでなく、税金などでも注意したい点があるので、ここではそれらを説明します。

(1)認知症の親の不動産を売却する場合、成年後見制度を使用して後見人が売却する

認知症になってしまっていると判断能力がないと見なされてしまいます。親族であっても、その本人名義の不動産を売却することは簡単にはできません。「法定後見制度」を使用して、法定後見人を選任し、家庭裁判所から許可をもらわなければ売却できません。認知症になる前に、前もって話し合っておく必要があります。

(2)売却益が出ると所得税・住民税がかかる

不動産売却においてかかる譲渡所得税・住民税は、「利益」が出ると発生する税金です。所得税・住民税(復興特別所得税を含む)を合わせた税率は、不動産の所有期間が5年以下なら39.63%、5年超でも20.315%と、高い税率になっています。売却時の「利益」とは、おおまかにいうと、買ったときより高く売れたということになります。「古いから、利益なんてないだろう」と思う方が多いのですが、そういうわけではありません。買った値段を証明できる書類がないときは税額が高額になってしまう可能性が高いです。購入した値段が分からない場合、売れた値段の5%で取得したものとして計算されてしまいます。具体的な計算はここでは省略しますが、購入価格を証明できる売買契約書等が残っていないと、課税額が高額になるケースがあるため、親が元気なうちに、あらかじめ書類の保管場所を確認しておく必要があります。

(3)「3000万円特別控除」を利用できない可能性がある

(2)で説明した通り、「利益」が発生すると、税金がかかります。ただし、マイホームを売却する場合は、利益が3000万円以下なら税金はかからないという「3000万円特別控除」という特例があり、実際多くの方はこれを利用することにより税金がかからなくなります。ただし、この特例を受けるためには「住まなくなってから3年目の12月31日までに売却する」という要件を満たさなければなりません。親が老人ホームに入居後「売ろうか、どうしようか」と考えているうちに3年が過ぎると、特例対象外になるため要注意です。

住民票はどうなる?

結論、老人ホームに入居が決まったとしても、住民票を必ず移さなければならないわけではないです。『住所地特例制度』という制度を利用することで可能になります。
「住所地特例」とは、施設所在地の区市町村に財政負担が集中するのを防ぐ目的で設けられた制度です。
介護保険制度においては、原則、65歳以上の者及び40歳以上65歳未満の医療保険加入者は、住所地の区市町村が実施する介護保険の被保険者となります。ただし、住所地特例対象施設に入居し、その施設の所在地に住所を移した者については、例外として施設入居前の住所地の区市町村が実施する介護保険の被保険者になります。 この制度を初めて聞いた方には、少し複雑な内容に感じてしまいますが、要約すると、住民票がある今の住所から他地域の老人ホームに入居する時には、住民票を移動させなくてもいいという制度になります。

まとめ

親が健康なまま過ごしてくれることをもちろん願いますが、その願いが叶わない場合、老人ホームへ入居を検討されることになると思います。 入居する決断が親の意向に沿わない場合もあれば、入居先の老人ホームが合わないということもあるかと思います。そうならないためにも、家族であらかじめよく話し合っておくことをおすすめします。また、老人ホームを選ぶ際にも入居者が希望する条件などを聞き、複数の施設を比較できるように調査しましょう。 ただ、「老人ホームに入居する」ということで、自宅の売却を考えることにもなるかと思います。注意点として、税制の特例が使えなくなったり、親の認知症が発症すれば、さらに売りづらくなってしまいます。これらの情報を家族で共有し、家をどうしたいのかについてよく話し合って決めましょう。


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