成年後見人が住宅を売却するには?

目次

  1. 成年後見人は住宅を売却できる?
  2. 成年後見人が居住用不動産を売却する
  3. 成年後見人が非居住用不動産を売却する
  4. まとめ

成年後見人は住宅を売却できる?

結論:成年後見人が被後見人の不動産を売却することはできる。ただし、許可や手続きなどを行う必要がある。

成年後見人とは、「成年後見制度」を利用して、選任された人のことを指し、「知的障害・精神障害・認知症などによってひとりで決めることに不安や心配のある人がいろいろな契約や手続をする際にお手伝いする制度」です。この成年後見人は、本人(被後見人)の保有している不動産を売却することができます。しかし、そのためには裁判所から許可を得たり、手続きを行う必要があります。もし、そういった許可を得ることや、手続きを行わず、売買契約を結んでも、それらは全て無効になってしまいます。本人が所有する不動産を成年後見人が売却する場合、その不動産が本人にとって居住用か非居住用かの区別が非常に重要になります。居住用か非居住用のどちらであるかによって、売却のために必要な手続きが変わってしまうためです。。そこで、この記事では、どのようにすれば、成年後見人が被後見人の保有している不動産を売買することができるのか、居住用不動産と非居住用不動産に分けて、それぞれの売却方法や注意点をご紹介します。

成年後見人が居住用不動産を売却する

成年後見人が本人の自宅などの居住用の不動産を売却したい場合、家庭裁判所の許可を得る必要があることが民法で規定されています。本人の居住用の不動産を売却するに当たって、家庭裁判所の許可が必要とされている理由は、成年後見制度の対象である本人が不利益を被らないように保護するためです。本人にとって居住用の物件が確保されているということは、生活していくうえでとても大切なことです。成年後見人に選任された人の判断だからといって、単に委任状などの手続きのみで、居住用の不動産を勝手に処分されてしまっては非常に困ります。成年後見人にできることは、「本人の利益になること」とされています。そのため、本人の利益が保証されているかどうかを判断し、許可を下すのが、家庭裁判所ということになります。

次に、生活を送るに当たって、居住用の家が必要であるだけでなく、本人にとって居住環境が急激に変化しないようにする必要があります。急に居住環境が変化してしまうと、認知症を進行させてしまう恐れがあるためです。

居住用不動産に含まれるものとしては、「現在本人が住んでいる住宅」はもちろん含まれるとして、「将来的に本人が住む可能性がある家」も対象に含まれます。例えば、「過去に居住の実績がある家」などが挙げられます。今は老人ホームなど高齢者用の施設に入所していたとしても、過去に住んでいた家は出所した場合、もう一度住む可能性がある家ということができます。 これらの居住用不動産を売却するためには、家庭裁判所に許可をもらう必要があります。許可をもらうために必要な手続きは以下になります。

それぞれの手続きに関して、詳しく確認していきましょう。

(1)不動産業者へ売買の仲介を依頼するs

まずは自宅を売却するために不動産業者へ売買の仲介を依頼することになります。この時、仲介を依頼する際に、成年後見人として行うことを絶対に伝えましょう。通常の不動産の売買と成年後見人による不動産の売買では手順が異なり、不動産業者が発行する契約書に記載する内容も異なってきます。後で、成年後見人として行なっているということを伝えると、契約書などを作り直すこととなり、不動産業者の方も困ってしまうことと、売買の時期などがその分遅れることになってしまうため、注意しましょう。また、仲介を依頼する不動産業者は、できるだけ親切で丁寧に対応してくれるところを選びましょう。そのために、複数の不動産業者に相談してみて、良いと思った業者にお願いするようにすることをオススメします。

(2)買い手を見つけ、売買契約を締結する

不動産業者と媒介契約を締結したら、不動産の買い手を探すために、不動産業者は広告を出します。基本的には、自身で買い手を探してくることも可能ですが、媒介契約の種類によってはNGとなってしまう場合もあります。媒介契約には、「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類が存在します。「専属選任媒介」の媒介契約を締結している場合は、自身で買い手を見つけても制限されてしまいます。それぞれの媒介契約の形式にメリット・デメリットがあるので、どのような媒介契約を結んでいるのかはちゃんと確認するようにしましょう。

買い手が見つかり、売主・買主共に納得できる条件が整ったら売買契約を締結します。この時に作成する契約書の内容は通常の売買契約とは異なり、「家庭裁判所の許可がおりなかった場合、売買契約を停止する」という条件を特約として記載します。これは売買契約を締結したとしても、家庭裁判所がその契約を認めなければ売買契約は無効とするということを明記しています。

(3)家庭裁判所へ申し立てを行う

成年後見人が本人の居住用不動産を売却するには、家庭裁判所の許可を得なければなりません。家庭裁判所の許可を得るには、家庭裁判所に対して、「居住用不動産処分許可の申立て」を行います。家庭裁判所の許可を得ずに居住用不動産を売却しても、売買契約は無効となるのでご注意ください。また、売買契約が無効になるだけでなく、家庭裁判所に成年後見人の義務をきちんと果たしていないと判断されて、成年後見人を解任されてしまう可能性があります。成年後見監督人が選任されている場合、居住用不動産を売却するには家庭裁判所だけでなく、成年後見監督人からも許可を得る必要があるので、合わせて注意したいところになります。

売却の申し込みに対して、判断基準となる要素として、次の物が挙げられます。

許可がおりてもおりなくても、不服申立てすることができない手続きになります。そのため、申し立てを行う際は慎重に進めていく必要があります。

(4)裁判所の許可がおりたら、決済し、不動産を引き渡す

家庭裁判所からの許可が下りたら 、物件の引き渡しを行います。多くの場合、決済は司法書士が立ち会って行われます。買主は代金を支払い、売主から買主への所有権移転の登記を済ませ、売買完了となります。

成年後見人が非居住用不動産を売却する

成年後見人が本人の非居住用不動産を売却する際は、居住用不動産を売却する時と異なり、家庭裁判所からの許可を得る必要はありません。成年後見人の居住用でなければ、生活の本拠として特別に保護しなければならないという重要性はなくなるからということです。

家庭裁判所からの許可は必要ありませんが、後見監督人が選任されている場合は、不動産を処分(売却)するのに後見監督人の同意をもらう必要があります。ただし、後見人が後見監督人の同意をもらわずに売却したとしても、売買契約が無効となるわけではなく、後見人又は本人が取り消すことができるということになります。後見監督人は取り消すことができないので、後見人が行った行為について取り消すべきだと考えた場合、後見人に対して取り消すように促し、後見人に取り消させるということになります。

ただし、注意点としては、家庭裁判所の許可がいらないからといって、非居住用不動産を成年後見人が自由に売却できるというわけではありません。後見人が本人の保有する不動産を売却するには、売却しなければならない正当な理由が必要になります。これは、居住用不動産であっても、非居住用不動産でも同様に必要です。「本人の生活費を確保する」「本人の医療費を捻出する」など、本人(被後見人)の利益となったり、生活を送るためのお金を確保することが目的でなければ、本人の不動産の売却されることが認められません。後見人や親族など、本人以外のために本人の保有する不動産を売却することは正当な理由にならないので注意が必要です。本人の不動産の売却に正当な理由のないものであった場合は、成年後見人に課されている「身上配慮義務」に反すると家庭裁判所に判断される場合があり、何らかの義務違反(過失)により他人に損害を与えてしまうと、それが不法行為等にあたって損害賠償責任を負う場合がある可能性があるので、注意が必要です。

また、不動産を売却するには「売却価格」についても注意しなければなりません。正当な理由もなく、相場と乖離した安い価格で不動産を売却することは、本人の利益にならないと家庭裁判所に判断される可能性があるので、ここも注意したい点です。

まとめ

成年後見制度で後見人を選任すれば、本人(被後見人)に代わって不動産を売却できます。居住用不動産の場合は、家庭裁判所に対して、「居住用不動産処分許可の申立て」を行い、許可してもらう必要があります。もし、本人の居住用不動産を売却するには、家庭裁判所の許可がなければ契約は無効となってしまいます。家庭裁判所に許可の申立てをしても、必ず許可が得られる保証はなく、必要性や妥当性などを考慮して判断されます。

非居住用不動産であれば、家庭裁判所の許可は必要ありませんが、居住用不動産と同様に、必要性や妥当性というものは必要になります。 成年後見人として、本人の保有する不動産を売却する時は、不動産業者の手続きなどが通常の不動産売買と異なるため、売却する前にちゃんと申告するようにしましょう。


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