【完全解説!】自己破産したあとの不動産査定は可能?!

不動産査定とは、「個人が所有する土地や建物が一体いくらで売却できるのか?」という観点で、第三者が査定することです。不動産に限らず車なども、査定をしてもらった後に本当に売却するか熟考した経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。さて、通常この査定は、不動産の売却や買い替えの際に考え始めるものですが、「自己破産」を視野に入れた際に話題に上がる言葉でもあります。はたして、自己破産申請後に不動産査定を行うことは可能なのでしょうか。今回は、自己破産申請後にどのように動くことで、不動産査定が進んでいくのか説明していきます。これを読むと、自己破産後の正しい動きがわかります。

目次

  1. 自己破産とは
  2. 自己破産を行うデメリット
  3. 不動産の査定は可能?
  4. 破産管財人と不動産査定
  5. 自己破産の種類 「同時廃止型」
  6. 「同時廃止型」のメリット
  7. 「同時廃止型」が適用される条件
  8. 抵当権について
  9. まとめ

自己破産とは

大手のアディーレ法律事務所によると、”「自己破産」とは、財産、収入が不足し、借金返済の見込みがないことなど(これを「支払不能」といいます)を裁判所に認めてもらい、原則として、法律上、借金の支払い義務が免除される手続き”です。”自己破産をすると原則として借金を支払う義務がなくなるので、借金に追われることなく収入を生活費に充てることができる”と説明されています。(https://www.adire.jp/jikohasan/)

以上に該当する方は、自己破産を申請することができます。法的に認められている借金帳消し手段と言ってもいいですね。
「返済能力」に関してですが、具体的に抱えている借金総額の基準などはありません。
「支払不能」とは、現在の収入のままでは借入総額の返済の目処が立たない場合を指すため、実際の金額は各々に依拠します。しかし一般的には、現在の借入総額を36で割った金額が、毎月の返済に充てられる金額を超えていた場合には「支払不能」であると判断されます。
つまり、現在抱えている借入総額を3年間で返済完了できるか否かという基準で判断されるということです。

自己破産を行うデメリット

借入金の返済義務が無くなる自己破産ですが、もちろんメリットだけでなくデメリットも生じます。大きなデメリットは以下の通りです。

生活必需品と判断されるような家具などは「自由財産」という扱いになり、処分を免れることができますが、高価な物品や高額現金は回収されます。具体的に、現金99万円以下は「自由財産」として認められています。(破産法34条3項1号)
反対に99万円以上の高額現金は、裁判所が選任した弁護士(破産管財人)が管理することになります。

不動産の査定は可能?

自己破産を行った際、「生活必需品を除いた財産が処分される」とのことでしたが、不動産はどうなるのでしょうか。結論から述べると、原則として不動産は処分されます。
言うまでもありませんが、不動産は高額な財産と見なされるからです。そこで査定が必要不可欠になってくるのですが、自己破産後の不動産査定は可能です。しかし、破産の種類によります。

破産管財人と不動産査定

自己破産の種類をご紹介する前に、破産管財人について説明したいと思います。
破産管財人とは裁判所が選任した弁護士で、自己破産した人の財産の管理や処分等を行い、各債権者へ分配する手続きを行います。弁護士ですので、自己破産申告者の味方のような気もするのですが、いたって中立な立場です。自己破産申告者と債権者の間に立ち、中立な判断をしていく役目を担っています。(参考:https://realestate-sale.link/a-trustee-in-bankruptcy/)

破産管財人は自己破産申告者の不動産を売却する権利を持っているので、査定を含む、売却にあたって必要となる様々な手続きを行ってくれます。この一連の手続きを「管財事件」と言うのですが、破産手続きでは「管財事件」が原則です。

もちろん破産管財人にも報酬が必要ですので、自己破産申告者が支払うことになります。
これは「予納金」と呼ばれており、破産申告者は裁判所を通して、破産管財人に納める義務があります。
そしてこの「予納金」の具体的な金額によって、不動産査定の進め方も変わってくるのです。

自己破産の種類 「同時廃止型」

不動産査定には破産管財人が関与してくるのですが、それは先ほど説明した「予納金」を納めた場合に限ります。
例えば、予納金を支払う余裕もないくらいの自己破産申告者には、破産管財人を付けないという選択もあるのです。これが「同時廃止型(事件)」です。 「同時廃止型(事件)」は、予納金を2万円程度に抑えることができます。
そして破産手続きの開始と同時に破産事件が廃止されます。ここで重要なのは、もちろん自己破産の申請自体が廃止されるのではなく、あくまで破産の手続き(財産の配分)が廃止されるということです。

具体的に破産法では、「破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるとき」は、破産手続開始決定と同時に、破産手続廃止決定がなされるとされています。(参考:http://www.shakkinseiri.jp/jikohasantetuduki/kanzai-douhai.html)

破産管財人が介入し、不動産査定や売却を行う手続きである「管財事件」と対になる不動産にまつわる破産手続き方法が「同時廃止型(事件)」ということですね。

「同時廃止型」のメリット

自己破産後の不動産査定は可能です。しかし、破産の種類によります。と上記で述べたのですが、査定可能な破産種類とは、「同時廃止型」を指しているということです。

以上のようなメリットを「同時廃止型」は持っています。

つまり「自己破産後に不動産査定はできるのか?」という問いに対する回答は、
破産手続きの種類が「同時廃止型」であれば可能ということになります。
不動産の処分権は、破産申告者に委ねられるということですね。

「同時廃止型」が適用される条件

「同時廃止型」は、自己破産申告者であれば誰でも認められるというわけではありません。 一定の条件があり、それらを満たさない場合は「管財事件」として手続きが進められることになります。

「オーバーローン」とは、住宅ローン残高が、売却した際に得ることができる不動産の価値(時価)を上回っている状態のことを指します。このオーバーローン状態の際に、「同時廃止型」は受理されます。
一般的に住宅ローン残高が、時価の1.5倍を上回っていることが基準となっているようです。

抵当権について

なぜオーバーローン状態だと「同時廃止型」が適用されるのでしょうか。

不動産を購入する際、購入者の返済能力が無くなった際の保険として、その不動産自体が担保にされます。この担保を先立って享受できる権利を「抵当権」といい、住宅ローンの債権者がこの権利を得ることになります。「抵当権」保持者は、購入者が返済能力を失った際に、強制的に不動産を競売にかけて売り出すことが可能となります。かつ、不動産を売ったことで得たお金を優先的に手に入れることができます。

オーバーローン状態で不動産査定が行われ売り出されたとしても、その代金は「抵当権」を持っている債権者に全額支払われることになります。そのため、「抵当権」を持っていない債権者には1円も支払いが行われないことになります。抵当権不保持者からすると、オーバーローン不動産は存在していないものと同様なのです。

以上の経緯を踏まえると、オーバーローン状態で「管財事件」とすることのメリットが皆無と言えます。破産管財人が仲介人として査定を行って、不動産を売り出したとしても、売上金は抵当権を持つ債権者に全額支払われるからです。さらに抵当権を持つ債権者は、わざわざ「管財事件」という破産手続きを踏まなくても、抵当権を持っている時点で強制的に競売などを実行できます。このような背景から、住宅ローン残高が時価の1.5倍を上回っているオーバーローン状態では、「同時廃止型」が適用されることになっています。

まとめ

今回の記事では、「自己破産後に不動産査定は可能なのか?」という問いについてまとめました。
結論から言うと、破産手続きには種類があり、「同時廃止型」であれば、自分で自己破産申告者が売り出し価格を自由に決めることができるということでした。しかし、債権者の抵当権が無くなるわけではありませんので、債権者が権利を行使して強制的に競売などで不動産を処分することはもちろん可能です。

反対に「管財事件」では、裁判所から任命された破産管財人が、査定を含む不動産破産手続きを一通り担ってくれるので、自己破産申告者は関与できないです。「予納金」を納めることで、破産管財人が自己破産申告者の財産の調査や管理、その他の破産管財業務を行ってくれるということでした。破産管財人は徹底して業務を遂行してくれるので、財産などの調査が十分になされるという点は、「同時廃止型」で全ての手続きを自分で行うことに比べると大きなメリットとも言えるのではないでしょうか。

そして重要なのは「同時廃止型」も受理の条件があるということでした。この手続きは「予納金」を安く済ませることができたり、破産手続きの期間が短かったりといくつかメリットがあることをご説明しましたが、あくまで「財産の配分が廃止される手続き」であることをお忘れなく。まずはご自身が条件に当てはまるかどうか調べてみるといいかもしれません。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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