急にまとまった資金が必要になったときにはリースバックをすると資金を受け取ることができます。リースバックとは家を売却し、賃貸として利用していく仕組みです。その過程では家の所有権が移行します。不動産を売買、相続したときなどには登記の名義変更を行いますが、リースバックをした場合にも名義変更の手続きが必要になるのでしょうか。
今回は、リースバックでは自分の登記から名義変更する必要があるのか、名義変更の手続きはどのようなものなのかについて説明します。
目次
名義変更にはどのような手続きが必要になるのでしょうか。まずは不動産を売買したときの名義変更の手続きについて説明していきます。
名義変更とは、不動産を所有している人を書類上で変更する手続きのことです。名義変更は家を売却するときや相続するときに行われます。
名義変更のためには審査に1〜2週間程度かかり、さらに書類を準備する時間もかかります。そのため、名義変更の全ての手続きには1ヶ月くらいかかると思っておくと良いでしょう。
名義変更では、登記事項証明書(登記簿)上の情報を変更することになります。登記事項証明書には、不動産に関する情報や、その不動産を所有している人の情報が記載されています。登記事項証明書には
といった情報が記載されています。
登記事項証明書は法務局で手に入れることができます。その申請方法には電子申請と書面申請の二つの方法があります。名義変更の手続きも法務局で行うことになります。
名義変更の手続きは自分で行うことができます。法務局に行くとどのような書類が必要かなどを丁寧に教えてくれます。しかし、名義変更の仕方は複雑なので手続きをしたことがない人にとっては簡単ではないかもしれません。自分で手続きしようとしても時間や手間がかかってしまいます。難しくて途中で断念してしまうかもしれません。そのため、名義変更の手続きは司法書士に依頼することが多いです。その分コストはかかってしまいますが、煩雑な手続きを手伝ってもらえます。
名義変更の手続きにはさまざまな書類が必要になります。その書類とは具体的には、住民票、固定資産評価証明書、登記事項証明書、取得して3ヶ月以内の印鑑証明書、戸籍の附票、売買契約書が必要です。これらを持って法務局に行き、手続きをすることになります。そのときに必要書類が揃っていないと手続きに時間がかかってしまうことがあります。早く手続きを済ませるためにも必要書類は事前に確認し、確実に用意してから手続きに行くようにしましょう。
名義変更の手続きには、登録免許税、司法書士報酬、書類を取得するときの費用、譲渡所得税の四種類の費用がかかります。
まず、登録免許税とは、法務局に名義変更を申請するときに必要となる費用です。その額は不動産の資産価格の2%です。
次に、名義変更の手続きを司法書士に依頼する場合は司法書士報酬がかかります。その費用は、必要となる手続きの内容やどの司法書士に依頼するかによって異なります。書類を集める段階から依頼する場合は10万円以上、名義変更手続きだけであれば5万円ほどかかる場合が多いです。
書類を取得するときの費用とは、手続きに必要な書類を取得するときの発行手数料のことを指します。
最後に譲渡所得税がかかります。不動産を売買すると売却益を得ることになるので、その金額に譲渡所得税がかかります。
名義変更をするには、まず法務局へ行って登記申請書を受け取ります。登記申請書を記入し、他の必要書類も集めます。そして作成した書類を法務局に提出すれば名義変更の手続きが完了です。
リースバックとは、持ち家を売却することでまとまった現金を手にすることができる仕組みです。
リースバックをすると持ち家を売却して資金を手にすることができます。その資金はさまざまな目的に使うことができ、借金の返済や生活費の足しにする人もいます。家を売却した後にも賃貸として同じ家に住み続けることができるというメリットがあります。
リースバックの流れ
となっています。
リースバックでは、持ち家を売却して資金を調達します。リースバック業者と売買契約を結び、家を売ることで家の売却代金を受け取ります。そのときに所有権は売り手から買い手に移行します。つまり、家はリースバック業者のものになるのです。同じ家に住み続けることになりますが、所有権の帰属が変わっています。
また、リースバックでは家を買い戻すことがあります。その際には所有権がもとに戻ります。今度はリースバック業者が売り手に、利用者が買い手になるのです。
リースバックではこのように所有権の移行が2回起こることがあります。
買い戻しができるというのはリースバックのメリットのうちの一つです。リースバックではなく家を売却するという手段をとってしまうと、買い戻しをすることはできません。それは、一度手放してしまった不動産は売買市場に出てしまい、手元に戻すことが難しいからです。しかしリースバックでは売却した家を買い戻すことができます。買い戻しをすると所有権を取り戻すことになります。
しかし、中には買い戻しができない場合があります。
それは、賃料を滞納してしまったときです。2〜3か月以上に渡って家賃を滞納すると、家を買い戻す権利がなくなってしまいます。それだけではなく家を空け渡さなくてはならなくなります。
また、買い戻しに関する条件が契約に記載されていなかったときにも買い戻しができません。
リースバックでは家の売買が行われ、所有権の移行が発生しますが、家の名義変更を行う必要があるのでしょうか。
結論としては、リースバックでも名義変更をする必要があります。名義変更を行うのは所有権が移行したときです。リースバックでは、家を売却したときと、家を買い戻したときに所有権の移行が発生します。そのため、名義変更の必要があるのは、家を売却したときと、家を買い戻したときの2通りがあり得ます。
リースバックに申し込むときには、
などの書類が必要になります。この中の「権利証」とは、不動産を所有していることを示す書類です。この権利証によって名義変更が行われます。売買契約を結んだ後に権利証を持って法務局に行き、所有権以降の手続きを行うのです。
リースバックにおいて名義が変わることのメリットとデメリットを考えてみましょう。
名義が変わるということは、物件の所有権がなくなるということです。それによって、不動産を所有していると支払わなければならない費用を負担する必要がなくなります。この、不動産を所有していることでかかる負担が無くなるというリースバックのメリットでした。不動産を所有しているとかかる費用とは、固定資産税や都市計画税などの税金や、修繕費、維持費、火災保険料などです。費用のみならず管理にかかる手間も買い手の負担になるため、売り手は面倒がなくなります。
さらに、不動産を所有していると災害や市場価値の下落といった影響を受けてしまいます。不動産を修理する必要が出てきたり、不動産の価値が下がって損したりしてしまう危険性があるのです。しかし、もしリースバックをしておけば、そのような被害を受けることはないのです。
名義が変更されるとこのようなメリットがあります。
リースバックをすると資産を相続できなくなってしまいます。なぜなら、家を相続するためには、家の所有権を持っていなければならないからです。リースバックによって名義を変更すると所有権はリースバック業者に移行してしまうため、相続ができなくなってしまうのです。
それによるトラブルも起こっています。子供たちが家を相続するつもりだったのに、知らない間に親が不動産をリースバックしていた、相続できないというトラブルです。そうならないように、相続については親子で事前に話し合う必要がありそうです。
ここまで、名義変更の手続きの仕方について説明してきました。
リースバックをすると、家を売買したときと買い戻しのときに所有権が移行します。そのときに名義変更が必要になります。名義変更のためには必要書類を集め、法務局へ提出します。名義変更の手続きは自分で行うこともできますが、司法書士に依頼することが多いです。
リースバックをしたときには家を売買したときと買い戻しのときに名義変更の手続きをするのを忘れないようにしましょう。