リースバックをすれば必ず得をするわけではありません。過去にはリースバックのトラブルもたくさんあるのです。気をつけないと悪徳業者の罠にかかってしまうかもしれません。
しかし、事前に注意点を確認しておけば損をすることはありません。今回は、リースバックで損をしないために事前に知っておくべき情報を紹介していきます。
目次
リースバックには仕組み上、次のような問題点があります。これらを知らずに契約してしまって後悔するといった人も多いです。しかし、これらはリースバック業者に騙されているからではありません。リースバックはそもそもこのような仕組みになっているのです。
リースバックにはどのような問題があるのかについて確認していきましょう。
リースバックでは買取価格が売却市場の相場よりも低くなります。これは、リースバック業者の利益を守るためです。リースバック業者は、購入した物件を自由に売買できないという不利を抱えています。その分、買取価格が低くなってしまうものなのです。買取価格が低いのはリースバック業者に騙されているわけではないので注意しましょう。
リースバックをするまでは持ち家に住んでいるため、家賃の支払いをすることはありませんでした。しかしリースバック後は賃貸物件になるため、家賃を支払うことになります。これまでにはなかった出費が発生するという問題点があります。
リースバックでは、家賃が相場より割高に設定されます。その理由は、買取価格が相場より高い理由と同じです。売買上の不利な条件によってリースバック業者が損をしないようにしているのです。
家賃が相場より高くなるのも、リースバック業者に騙されているからではありません。
リースバックをすると、不動産の所有権を手放すことになります。不動産の所有権はその不動産を購入した第三者に移行します。つまり、所有権は家の売り手から、買い手であるリースバック業者に移行するのです。
リースバックをしても、ずっとその家に住み続けられるわけではありません。リースバックでは賃貸期間に制限があります。一般的には定期借家契約という契約を結ぶため、契約期間は2〜3年であることが多いです。2〜3年以上は住み続けられない場合がほとんどなので、リースバックを利用するときにはそれを覚悟して利用しましょう。
リースバックでは売却した物件を買い戻すことができますが、そのときの価格は高額になることが多いです。それは、リースバック期間中に業者が負担した諸費用の分が上乗せされるからです。そのため、買い戻し価格は1〜3割り増しになってしまいます。買い戻し価格が高かったとしても、リースバック業者に騙されているわけではありません。リースバックとはそもそもそういう仕組みなのです。
リースバックでは、買取価格や家賃に正解がありません。その家の状態や所在地など、さまざまな条件によって価格は変わります。また、対象にできる物件も、業者によって異なります。そのため、契約した業者によって提示される条件が大きく変わってしまうことがあるのです。
リースバックにはこれらの問題点があることで、いくつかのリスクが発生します。
そもそもリースバックでは買取価格が低くなるものでしたが、必要以上に低い価格で買い取られることがあります。それは、低価格で買い取り、高く売却した方がリースバック業者としては儲かるからです。
リースバックをするとこれまでの家に家賃を支払って住むことになります。しかしそのときの家賃は割高に設定されるため、契約期間中に家賃の支払いが難しくなってしまうことがあるのです。そうすると強制退去となり、家を明け渡さなくてはならなくなります。
リースバックでは家賃が割高に設定されます。万が一家賃の支払いを滞納してしまうと、ブラックリストに名前が載ってしまいます。一度ブラックリストに名前が載ると、5〜10年間の間は信用の事故情報が保存されてしまいます。
そもそもリースバックができないというリスクもあります。リースバックは他の資金調達方法に比べると利用者に関する制限は少ないですが、誰でも利用できるわけではないのです。例えば、
といった場合にはリースバックは利用できません。
リースバックでは、急に家賃が値上げされることがあります。それは、オーナーチェンジが起こった場合などです。オーナーチェンジとは、不動産業者が倒産してしまったときなどに不動産の所有者が変わることです。それによって賃貸借の方針が変わり、契約の更新を拒まれたり、急に立ち退きを要求されたり、家賃を値上げされたりする危険性があるのです。
リースバックは買い戻しができるのがメリットでしたが、買い戻しができない場合もあるのです。それは、買い戻しのための資金を用意することができなかった場合などです。買い戻しのための費用は買取価格の1〜3割り増しになってしまい、かなり負担が大きいです。毎月の家賃の支払いがある中でその資金を集めるのは簡単ではないのです。そのため、結局買い戻しができなかったということになってしまうのです。
リースバックをすると、家を相続することができなくなるというリスクがあります。それは、リースバックでは家を売却して、所有権を手放すことになるからです。家の所有権がないのに家を相続することはできません。そのため、もし子供が資産を欲しがっていたとしても、一度リースバックしてしまうと相続できなくなってしまうのです。相続する相手がいる場合は、リースバックはしない方が良いでしょう。
リースバックをすると、家を建て替えたり、リフォームしたりできなくなってしまいます。それは、リースバックでは家を売却して、所有権を手放すからです。家を建て替えたり、リフォームしたりできるのは所有者のみです。すでに所有権を手放してしまった利用者は、勝手に家を建て替えたり、リフォームしたりすることはできないのです。建て替えやリフォームを自由に行いたい場合は、リースバックはしない方が良いです。
リースバックを契約するときに嘘の説明をされるリスクがあります。例えば、「この家は早く売却してしまった方が良い」と言われたり、本当はリースバックができない条件の物件なのに「リースバックができる」といって無理やり手続きさせられたりというトラブルがあります。
リースバックにはさまざまなリスクや仕組み上の問題点があるということがわかりました。それでは、それらのリスクを回避するためにできることはあるのでしょうか。リースバックに関する注意点を説明していきます。
リースバックをするときには複数の業者に見積もりを出してもらうようにしましょう。その平均を見れば、自分の物件をリースバックしたときの適正な売却価格や家賃を知ることができます。さらに、複数人の話を聞くことでリースバック業者の嘘を見抜くこともできます。
契約を結ぶときには契約の内容をよく確認するようにしましょう。リースバックは全て契約内容に従って行われていきます。もし買い戻しに関する条件が記載されていなかったら買い戻しができなくなる危険性があるし、「再契約は不可」と記載されてしまったら後からその内容を変更することはできません。
契約を締結するときに確認すべき事項には
などがあります。リースバックは契約書に記載されたこれらの条件によって進められていきます。万が一契約内容に誤りがあっても後から変更することはできません。希望の条件でリースバックをするために、契約内容は細かいところまで確認するようにしましょう。
リースバックに関する条件は全て契約書に記載しておきましょう。そうでないと、後から条件を変えられてしまうことがあるからです。例えば、買い戻しのための価格を口約束で定めていると、貸し手と借り手の間で認識の違いが発生してしまうことがあります。そのため、せっかく費用を準備しても、言われていたよりも高い価格を請求されて結局買い戻しができなくなってしまうのです。
このように後から条件を変更されてトラブルになることを防ぐため、リースバックに関する条件は全て契約書に明記しておくようにしましょう。
家賃は確実に支払える金額にしましょう。リースバックの家賃が割高なために、家賃を滞納して強制退去となったり、ブラックリスト入りしたりというリスクがあるからです。家賃の負担が心配な場合は、買取価格を低めにすれば家賃を下げることができます。リースバック業者と相談して、確実に支払っていけそうな家賃を設定するようにしましょう。
今回は、リースバックにおいて損をしないために事前に知っておくべき情報を紹介してきました。これらのリスクを確認して、リースバックの罠にかかってしまわないように注意しましょう。