【住宅ローン】アンダーローンのときにリースバックはできるのか?

リースバックとは、資金を調達するための仕組みです。所有している資産を売却することで資金を手にすることができます。その資金は住宅ローンを返済するために使用することができます。しかし、中にはリースバックを利用できない場合があります。住宅ローンには「アンダーローン」と「オーバーローン」という状態がありますが、住宅ローンがアンダーローンだった場合にリースバックを利用することはできるのでしょうか。説明していきます。

「アンダーローン」とは

住宅ローンには、「アンダーローン」と「オーバーローン」という状態があります。「アンダーローン」とは、不動産の資産価値よりもローン残高が低い状態のことをいいます。逆に不動産の資産価値よりもローン残高が高い状態のことを「オーバーローン」といいます。
しかし、ただ売却価格と比較するだけではありません。売却にはさまざまな費用がかかります。その額のせいで実質の売却価格は下がってしまいます。そのため、アンダーローンかオーバーローンかを判断する際には、家の売却価格から諸費用を引いた金額と、住宅ローンを比較する必要があるのです。

ここからは、アンダーローンかどうかを判断するために必要な、家の売却価格と、売却にかかる諸費用と、ローン残高の調べ方について説明していきます。

売却価格の決まり方

まず、家の売却価格はどのように決まるのでしょうか。 買取価格はだいたい市場価格より低くなることが多く、買取価格の相場は市場価値の7割から9割ほどです。
家の売却価格には次のようなものが影響しています。

築年数

まず、物件の築年数が買取価格に影響します。築年数が経っておらず、新しい物件は資産価値が高いです。しかし、新築物件はあまり高い価格で買い取ってもらうことはできません。それは、新築物件は価値の下落が著しいからです。一方、古い物件では価値の下落が起こりにくいです。そのため、古い物件は建物の価値が低くなる代わりに、土地の値段が高めに設定されます。

市場価値

家の買取価格は市場価値を参考に決定されます。都市圏のような流通性の高いエリアでは高い値段で買い取ってもらうことができます。一方、人気のないエリアでは買取価格が下がってしまい市場価値の70%〜80%くらいになってしまいます。もしあまりにも流通性が見込めない場合は、リースバックを断られてしまうこともあります。

貸借期間

貸借期間も買取価格に影響します。早く退去してもらうために貸借期間が短く設定されているケースなどでは、物件の価値が下がりにくいため、高めに買い取ってもらうことができます。

家賃

家賃負担を低くしようとすると、売却価格は下がってしまいます。一方、高く買い取ってもらおうとすると、家賃が上がります。そのため、家賃負担の希望によって売却価格を変えることができるのです。

家の売却にかかる費用とは

次に、家を売却するときにはどのような費用について一つずつ見ていきます。

仲介手数料

家を売却する際には不動産会社に仲介手数料を支払います。その金額は、売却額の3%+ 6万円です。しかし、不動産業者が仲介役ではなく、直接買い取る場合は仲介手数料がかかりません。また、不動産業者によっては仲介手数料を最初から無料にしている場合もあります。

印紙税

印紙税とは契約書に課される税金のことです。印紙税は家の売却価格によって変動し、売却価格が高ければ印紙税も高くなります。具体的には、売却価格が1000万円〜5000万円であった場合は、印紙税として1万円がかかります。

登記費用

家を売買した際には不動産の所有権が移行したことを登記をしなくてはなりません。そのためには登記変更税がかかります。登記費用は家の売却価格によって決まります。さらに、登記は司法書士に依頼するのが一般的であるため、司法書士報酬としてだいたい2万円〜5万円がかかります。

抵当権抹消費用

抵当権がついていると家を売却することができません。そのため、抵当権抹消費用を支払って抵当権を外します。
抵当権とは、「万が一住宅ローンを支払うことができなくなった際には、債権者が担保とした資産を売却して良い」という債権者側の権利です。これによって債権者は融資した分を返済してもらえないというリスクを回避することができるのです。
抵当権抹消費用は戸建であれば登録免許税が2,000円〜4,000円ほどかかり、さらにそれに伴う司法書士報酬が15,000円〜30,000円くらい必要になります。

譲渡所得税

家の売却価格が購入価格を上回った場合、家の売却によって利益を得ることになります。
その分に対して所得税と住民税が課税されます。しかし、売却しても利益にならなかった場合は、譲渡所得税はかかりません。さらに、売却益が3000万円以下であると譲渡所得に税金はかからないという特例もあるため、譲渡所得税は支払う必要がないこともあります。


このような、売却にかかる諸費用の影響を受けてアンダーローンかどうかが決まります。家の売却価格から売却手数料を引き、その金額と住宅ローンを比較します。住宅ローンが売却価格を下回った際にアンダーローンということになるのです。

ローン残債の確認方法

これまでで、売却にかかる費用がわかりました。それでは、ローン残高がいくらなのかはどのようにすればわかるのでしょうか。
次に、住宅ローン残債の確認方法を説明します。ローン残高は次の3つの方法で確認することができます。

返済予定表

まず、住宅ローンの残債は「返済予定表」で確認することができます。返済予定表とは、住宅ローンを借りたときに契約した金融機関から送られてくる書類です。残高のみならず、毎月の返済予定額や元金と利息の内訳なども記載されています。

残高証明書

次に、残高証明書で確認することも可能です。残高証明書とは名前の通り、住宅ローンの残債がいくらかを証明してくれる書類です。10月頃に金融機関から郵送されます。

金融機関で調べる

それらの書類がどこにあるかわからなくなってしまった場合などは、金融機関の窓口に行って尋ねることができます。また、金融機関のウェブサイトで確認することもできます。
住宅ローンの残高はこのような3つの方法によって調べることができます。

アンダーローンの場合リースバックはできるのか

これまでに、売却価格の決まり方、売却にかかる費用、ローン残高の調べ方を確認してきました。これらを使えば、アンダーローンかどうかを判断することができます。
残債が売却価格を下回った場合、つまりアンダーローンとなった場合には、家を売却することができ、売却代金で住宅ローンを完済することができます。
つまり、住宅ローンがアンダーローンの状態であればリースバックをすることができるのです。

リースバックをするための条件

そもそもリースバックをするための条件には次のようなものがありました。

ローンの残債が売却価格より低いこと

リースバックをする際には、不動産の売却価格が、ローンの残債を上回っている必要があります。つまり、アンダーローンの状態でないといけないのです。オーバーローンの場合はリースバックを断られてしまうケースがほとんどです。もしオーバーローンの状態でリースバックをしても住宅ローンを完済することができません。それでは抵当権を外すことができないので、リースバックをすることができないのです。名義人から同意を得ること

リースバックの二つ目の条件は、名義人から同意を得ることです。名義人が複数いる場合は、その全員から同意を得る必要があります。同意を得た後は売買契約書に署名および捺印をしてもらう必要があるため、早めの準備が必要になるといえるでしょう。

収入が安定していること

リースバックの三つ目の条件は、安定した収入があることです。もし収入が不安定だと家賃を支払えなくなる可能性があるからです。リースバックをすると、自宅を一度売却した後には家賃を支払って住み続けることになります。その家賃を滞納しそうだと判断された場合はリースバックをすることができません。 つまり、アンダーローンであることはそもそもリースバックの条件となっているのです。

アンダーローンでリースバックをするメリット

売却代金で住宅ローンを完済することができるというメリットがあります。 残債が売却価格を下回った場合、つまりアンダーローンとなった場合には、家をリースバックすれば、得た売却代金で住宅ローンを完済することができます。もし普通に家を売却することで住宅ローンを返済した場合は、引越しをしなくてはならなくなってしまいます。しかし、リースバックであれば引越しをする必要はなく、これまでの生活を維持することができます。これがリースバックのメリットです。 リースバックはアンダーローンのとき以外にもさまざまな活用例があります。リースバックのメリットについて詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
⇒ 【セール&リースバックのメリット】不動産をリースバックするとどのような良いことがあるのか

まとめ

住宅ローン残債が売却価格を下回る状態を「アンダーローン」、住宅ローン残債が売却価格を上回る状態を「オーバーローン」といいます。
アンダーローンの場合はリースバックをすることができます。さらに、リースバックによって、住宅ローンを完済することができ、さらにこれまでの生活を続けることができるのです。
もし住宅ローンの返済に困った際には、残債がアンダーローンかオーバーローンかを確認し、リースバックの利用を検討してみてはいかがでしょうか。