【高齢者も利用可能?!】リースバックに年齢制限はあるのか?

人生のさまざまなライフイベントでは、資金が必要になります。その際、融資を受けようとしても、年齢制限によって金融機関から断られてしまうことがあります。高齢になると資金が必要になるにも関わらず、資金を調達するのが難しくなってしまうのです。
そこで、リースバックを利用する人が増えています。みなさんはリースバックという言葉を聞いたことがありますか。リースバックとは、持ち家を活用して資金を調達する方法の一つです。リースバックの利用は特に高齢者の間で増加しています。しかし、リースバックにも年齢制限はあるのでしょうか。今回はリースバックの年齢制限について説明していきます。

リースバックとは

リースバックは、さまざまな理由で急にまとまった資金が必要になったときに利用します。簡単に言うと、持ち家を売却することで、その売却代金を手にすることができるという仕組みなのです。
まず不動産会社に資産を売却します。このときの資産とは、戸建てやマンションなど、さまざまなものを対象にすることができます。利用者は、不動産会社から売却代金を受け取ります。利用者はこの資金をどのような目的にも使用することができます。
次に、不動産会社は購入した物件を利用者に対して賃貸として貸し出します。利用者は毎月家賃を支払うことで、これまで通りの家に住むことになります。つまり、一度売却した家をその後は賃貸として利用し続けていくのです。この、転居をせずに済むという点が、一般的な売却とは異なるリースバックの特徴となっています。

リースバックに年齢制限はあるのか

それでは、多くの資金調達方法に年齢制限があるように、リースバックも年齢制限があるのでしょうか。実は、リースバックには特に年齢の制限はありません。唯一の年齢制限は、成人以上であることです。成人していなくても保護者の同意があればリースバックをすることはできますが、未成年が持ち家をリースバックする事例はあまりありません。
しかし、成人以上であってもリースバックを利用できないケースもあります。それは、判断能力がない場合です。例えば、あまりにも高齢で、判断能力が衰えていると判断される場合は、リースバックの利用を断られてしまう場合があります。それは、よくわからないうちに契約をしてしまい、後から解約をしようとしても断られるといったトラブルにつながってしまうからです。そのため判断能力に欠けている人はリースバックを利用することができません。
つまり成人していて、意思判断ができる人であれば誰でもリースバックを利用することができます。そのため、リースバックはさまざまな人に利用されているのです。

多くの場合、リースバックを利用する際に年齢制限はありませんが、リースバックをするための条件は不動産業者によって異なります。利用する際には依頼しようとしている不動産業者に確認してみる必要があります。

リースバックは高齢者におすすめ!

実は、リースバックは高齢者の方にとってたくさんのメリットがある仕組みなのです。実際にリースバックは高齢者による利用数が増加しています。高齢者がリースバックを利用する際には、

  • 老後の生活費が足りないが、長年住んだ、愛着のある家から引っ越したくない
  • 老後は少し贅沢な暮らしを送りたい
  • 定年退職をしてから、年金頼りで生活が不安定である
  • 早めに相続対策や資産の整理をしたい
  • 子どもたちに財産を平等に残したい
  • 通院する機会が増え、医療費の負担が大きい

といった理由での利用が多いです。

それでは、高齢者にリースバックをおすすめできる理由を説明していきます。

家を売却した後も住み続けることができる

家を売却した後に、同じ場所に住むことができるというのは高齢者にとってメリットになります。
リースバックとは、家を売却した後も賃貸契約によって同じ家に住み続けることができる仕組みです。一方、家を売却してしまうと、同じ家に住み続けることはできません。一度売却した家は売買市場に出され、第三者の買い手がついてしまいます。そうすると、手元に戻すことは難しいのです。そのため、売却後も同じ家に住み続けることができるというのはリースバックの大きな特徴だといえます。
引っ越しをせずに済むというのは金銭的にも体力的にもとても大変です。せっかく築いた地域の人たちとの関係も手放さなくてはならなくなってしまいます。
しかしリースバックであれば引っ越す必要はないので、そのような問題が起こることはありません。

まとまった資金を調達できる

リースバックをすると資金を調達することができます。リースバックには年齢や収入による制限がないため、誰でも利用することができます。また、リースバックは売却活動であり、借金ではないので、気軽に利用することができます。
老後にはさまざまな場面で資金が必要になります。例えば、歳をとると病気にかかることや、怪我をする機会が増えてしまいます。急に入院したり、手術をしたりすることがあれば、資金が必要になります。また、長く同じ家に住み続けていると、家のあちこちが壊れてくることでしょう。そうなれば、修理やリフォームを検討するかもしれません。自分の世話をすることが難しい年齢になったら、老人ホームに入るかもしれません。もしくは、介護を頼むことになるかもしれません。このように、老後にはさまざまな点で資金が必要になります。なんと老後には最低でも2,000万円がかかるといわれているのです。その額を年金で賄うのは困難であるし、高齢になってからは高い収入は見込めません。そこで、リースバックをすれば、家を売却することでまとまったお金が手に入るのです。その資金の使い道に制限はないため、医療費にも、生活費にも使うことができます。

遺産の整理ができる

リースバックをすると、相続問題を解決することができます。 家を資産として所有している場合、相続問題が発生することがあります。例えば、子供が複数人いる場合、どのように家を相続すれば平等でしょうか。家の形で所有していると、平等に分与することは難しくなってしまいます。そこでリースバックをして家を現金化してしまいます。現金であればかんたんに分割することができ、平等に相続することができるため揉め事が起こる心配もありません。さらに、家を売却した後も本人はその家に住み続けることができるのです。このように、リースバックをすると、資産の相続がかんたんに行えるようになるというメリットがあります。

高齢者向けのサービスがある

リースバック業者の中には、高齢者向けのサービスを提供している業者もあります。例えば、定期的に電話で安否を確認したり、不動産に関する高齢者の疑問に答えてくれたり、セキュリティを安全にしてくれたりといったサービスがあります。このようなサービスがあれば高齢者でも安心してリースバックをすることができます。

リースバックは高齢者のトラブルも多い!

リースバックは高齢者におすすめの仕組みである一方、高齢者のトラブルも多く報告されています。全国の消費生活センターには、高齢者によるリースバックに関する相談がたくさん寄せられています。特に70歳以上の高齢者による相談が増加しており、2020年度には相談件数の約半数が70歳以上の人によるものでした。 その相談内容には、

  • 強引に勧誘された
  • 嘘の説明をされたが信じて契約してしまった
  • しつこい勧誘を受けてつい契約してしまった
  • 断っても断っても勧誘してくる
  • 契約時には説明されなかった多額の金額を後から請求をされた
  • 解約を申し出たら違約金を請求された
  • 高齢の親が知らないうちに契約をしていて解約させたい

トラブルに遭わないために

このようなトラブルに遭わないように、リースバックをする際には事前によく調べるようにしましょう。リースバックにはメリットばかりではなくデメリットもあります。その両方を理解した上で契約を結ぶようにします。よくわからないままで契約を結んでしまってはいけません。それは、一度自宅を不動産業者に売却してしまうと、どのような理由があってもクーリング・オフはできないからです。どんなにしつこい契約であっても、納得できない点があるうちは断るようにしましょう。高齢者の方は特に、リースバックをする際には一度その旨を家族に相談してみると安心です。

もしトラブルに遭ってしまったら

もし、リースバックに関してトラブルに遭ってしまったら、消費生活センターに連絡してみましょう。また、トラブルに遭う前でも、何か疑問に思うことがあれば、相談することができます。相談は無料で、平日、祝日を問わず対応してもらうことができます。消費生活センターの連絡先は

【消費生活センターの連絡先】
消費者ホットライン:電話番号 188 国民生活センター:電話番号 03-3446−1623(平日10時~12時、13時~16時)

です。電話をすると、専門の担当者が過去の相談に基づいて的確なアドバイスをしてくれます。リースバックに関して何か困ったことがあったら、積極的に利用してみましょう。

まとめ

リースバックを利用するには年齢制限はありません。成人以上で、判断能力のある人であれば誰でも利用することができます。特に高齢者の方にはメリットが多く、おすすめできる仕組みとなっています。しかしリースバックは最近広まりつつある仕組みで、未だガイドラインも完成していないため(2022年2月現在)、トラブルの事例も多く報告されています。被害に遭わないようにするために、リースバックを利用する際には自分でも十分に調べてから行うようにしましょう。



【参照】 独立行政法人「高齢者の自宅の売却トラブルに注意」
https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20210624_1.pdf