リースバックとは、資金を調達するための仕組みの一つでした。リースバックには利用するための制限が少ないため、誰でも活用しやすいというのがメリットの一つでした。それであれば、ブラックリストに載っている人や生活保護を受給している人でも、資金を調達して生活を豊かにすることができそうです。
しかし、ブラックリストに載っている人や生活保護の受給者でもリースバックをすることはできるのでしょうか。
今回はブラックリスト、生活保護とリースバックについて説明していきます。
目次
まず、ブラックリストに載っている人はリースバックをすることができるのかについて説明していきます。
ローンを組んだときなどに、3ヶ月以上返済を滞納したり、任意売却をしたり、自己破産したりすると、その情報が「ブラックリスト」に載ってしまいます。「ブラックリスト」というリストが実際に存在しているわけではなく、ローンに関する事故情報が信用情報機関に登録されてしまうことが「ブラックリストに載る」と言われているのです。
一度ブラックリストに載ると、5〜10年間の間はその情報が保存されます。ブラックリストに載っている期間は事故の内容によって異なります。事故内容と登録期間は
となっています。この期間を過ぎると事故情報は削除され、ブラックリストから外れることができます。
ブラックリストに載っている人がリースバックを利用するのは難しいです。それは、保証会社と契約をするときに信用情報面の審査で落とされてしまう可能性が高いからです。信用情報に不安があると、リースバック後の家賃の支払いを滞納されるのではないかと疑われてしまいます。そのため、過去にも賃料を滞納したりしてブラックリストに載ってしまうと、リースバックを断られてしまう可能性が高いです。
次に、生活保護を受けている人はリースバックを利用できるのかについて見ていきます。
そもそも生活保護とはどのような仕組みなのでしょうか。厚生労働省によると
生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。
という制度になっています。生活保護には「生活扶助、住宅扶助、教育扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助」といった8種類があり、目的に応じて支給されます。生活保護を受けるには、
といった条件があります。
それでは、生活保護を受給しているとリースバックを利用することはできないのでしょうか。
結論をいうと、生活保護受給者であるという理由でリースバックができないということはありません。しかし、家賃の支払い能力がないとみなされてしまうと保証会社から契約を断られてしまうため、リースバックをすることはできません。
リースバックができないのは家賃支払い能力のない生活保護受給者だけではありません。リースバックを利用できないケースにはどのような場合があるのでしょうか。
まずは、十分な収入がないとリースバックをすることはできません。これは生活保護受給者がリースバックを断られてしまう原因の一つです。年金生活をしている高齢者、派遣社員、休職中や就職活動中の人なども収入が不安定だと見なされてしまうと、リースバックをすることができません。しかし、その基準はリースバック業者によって異なります。自分がリースバックを利用できるのかどうかは業者に確認してみる必要があります。
成人していない人は保護者の許可なく、リースバックをすることはできません。また、判断能力が衰えている場合や認知症である場合も、リースバックを利用することができません。
戸建て、マンション、オフィスなど、全ての物件が対象になっているとは限りません。その業者が扱うことができる不動産である必要があります。
また、対象にできる物件のエリアが決まっている場合もあります。関東に注力しているリースバック業者などの場合は、それ以外の地域にある物件を取り扱うことはできません。
建築基準法に違反している物件や、過去に殺人事件や火災による死亡事故があった「事故物件」などをリースバックすることはできません。それは、これらのような物件では売却したところで買い手がつかない可能性が高いからです。このような価値のない物件をリースバックすることはできません。
リースバックをするためには、全ての名義人から同意を得なくてはなりません。名義人が複数人いる場合は、その全員から同意を得る必要があります。同意を得た後、名義人からの署名、捺印がないとリースバックをすることはできません。
住宅ローンが残っていて、その額がオーバーローン状態であると、資産を売却してもローンを完済できないため、リースバックはできません。
リースバック業者によっては、保証人を用意することが条件となっている場合もあります。そのため、保証人になってくれる人が見つからなかった場合には、リースバックをすることができません。
ブラックリスト者であったり、生活保護受給者であったりということを理由にリースバックを断られてしまったら、もう対処法はないのでしょうか。どうしてもリースバックをしたい場合は、次の3つの方法を試してみましょう。
今のところは十分な収入がなかったとしても、今後の収入が見込まれる場合にはリースバックをさせてもらえる場合があります。さらに、リースバックをした売却額によって家賃を支払っていくことができそうな場合にも、リースバックを利用することができます。
保証人をつければ、リースバックを認めてもらえる場合があります。それによって、もし家賃が滞納されても金融機関は損をせずに済むからです。
しかし保証人には誰でもなれるわけではありません。保証人になれる人とは、契約者の2親等以内の親族であること、安定した収入があること、債務者の近くに住んでいることなどが求められます。
このように保証人をつければ、ブラックリスト者や生活保護受給者であってもリースバックできることがあります。
一度はリースバックを断られてしまったとしても、他の業者にあたってみると断られないという場合もあります。それは、リースバックをするための条件が不動産業者によって異なるからです。
リースバックを断られてしまったら、複数の業者に相談に行ってみると、ブラックリスト者や生活保護受給者であっても対象としてくれる業者を見つけることができるかもしれません。
なんと、生活保護の条件に通れなかった人が、リースバックをすると生活保護をもらえるようになることがあるのです。
生活保護は、生活に困窮したときの最後の手段として申請できる制度でした。そのため、資産がない、不動産がないという状態でないとリースバックをすることができません。しかしリースバックをすれば、家の所有権を手放すことになります。それによって不動産がない状態になり、生活保護を受けられるようになるのです。
しかし、リースバックによって生活保護の条件をクリアするためには、リースバック後の家賃に気をつけなければなりません。それは、家賃の高い家に住んでいると生活保護をもらうことができないからです。リースバックでは多くの場合、家賃は割高になってしまいます。高い家賃の家に住むことができるのであれば、その家賃を削減すれば生活費が捻出できると言われてしまうのです。そのため、リースバックをして生活保護をもらうためにはリースバックの賃料を抑える必要があるのです。
また、リースバックした売却資金によって資金があるとみなされてしまうと生活保護をもらえなくなってしまいます。その場合は、受け取った資金を住宅ローンの残債のために使えば、手元に資金が残らなくなるので、生活保護をもらえる可能性が出てくるのです。
今回は、ブラックリスト、生活保護とリースバックの関係について見てきました。
ブラックリストに載っている人も生活保護を受給している人も、「ブラックリストに載っているから」、「生活保護を受給しているから」という理由でリースバックができないのではありません。家賃の支払いが滞りそうだと判断されてしまうとリースバックを断られてしまうのです。つまり、家賃を確実に支払う証拠を示すことができれば、ブラックリスト者でも生活保護受給者でもリースバックできる可能性は大いにあるということがわかりました。
もし、どうしてもリースバックを利用したい場合は、保証人をつけるなどして対策をとってみると良いでしょう。
【参考】
厚生労働省「生活保護制度」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/index.html