【リースバックでは買戻しできるのか】〜買戻しと買戻し特約の違いとは〜

リースバックでは資産を売却することで資金を得ます。
一度売却してしまった資産の所有権は第三者に移行することになります。

その資産はもう再購入することはできないのでしょうか。
今後も使い続けたいと思ったとしても、ずっと賃貸として使い続けるしかできないのでしょうか。

今回はそのような疑問にお答えしていきます。

さらに、買戻しと買戻し特約の違いについても解説していきます。

リースバックでは資産の再購入はできるのか

リースバックでは一度売却した資産を再購入することができます。
一方、一般的な売却などでは買戻しをすることは難しいです。
そのため、他の資金調達方法と比較して、買戻しができるということはリースバックの大きな特徴の一つとなっていました。

リースバックをすれば、急に現金が必要になったときに資産を売却して、資金繰りが落ち着いた際には資産を買戻すことができるのです。

買戻しができない場合

基本的にリースバックでは資産の買戻しができますが、次のような場合は買戻しができなくなってしまうことがあります。

家賃の支払いを滞納した場合

一度でも家賃を滞納してしまうと買戻しの権利を剥奪されてしまう可能性があります。
さらに、滞納が3ヶ月続いた場合は強制退去となってしまうので気をつけましょう。

強制退去についてはこちらも参照してください。
⇒ 【リースバックの退去の仕方】〜退去の際に必要な手続きをわかりやすく解説〜

買戻しのためのお金が足りない

資産を買戻すためには、家の売却金額と同等またはそれ以上のお金が必要になります。
期限までにその金額を準備することができなければ、買戻すことはできません。

買い戻しについて契約時に定めておかなかった

基本的にはリースバックでは資産の買戻しができます。しかし、契約に買戻しについての記載がなかった場合、買戻しを断られてしまうことがあります。

もしリースバック後に資産の再購入を考えている場合は、このような事態にならないように注意しましょう。買戻しができなくなってしまうかもしれません。

買戻しの仕方

それでは、資産を買戻すためにはどのような方法があるのでしょうか。
買戻しの方法には2通りあります。「買戻し(売買予約)」「買戻し特約」です。

両者について、一つずつ説明していきます。

「買戻し(売買予約)」とは

1つ目は「買戻し(売買予約)」についてです。
その名の通り、一度売却して手放した資産を再購入することです。

リースバックでは、「買戻し特約」ではなく、「買戻し(売買予約)」の方が行われています。

リースバックでは、一度売却して手放した資産を賃貸として利用していき、資金が貯まったら買戻したいと考える人が多いです。

つまり「買戻し(売買予約)」とは、賃貸として利用していく中でいずれ買戻す時のために再売買の予約をしておくような仕組みなのです。

「買戻し特約」とは

2つ目に、「買戻し特約」というものがありです。
買戻し特約については、民法579条に記載されています。

買戻し特約とは、売却の際に受け取った金額と同等の金額を支払えば、一度売却してしまった不動産の売買契約を解除することができるという制度です。

不動産を売買するにあたって売買契約を結ぶときに、買戻し特約も一緒に締結する必要があります。後から買戻し特約をつけようとしたり、契約更新の際に新たに定めたりすることはできません。

しかし、買戻し特約は要件が厳しいため、実際はあまり使われていません。

「買戻し(売買予約)」と「買戻し特約」の違い

「買戻し(売買予約)」と「買戻し特約」は名前も内容もよく似ていることから、違いがわかりづらいかもしれません。
ここでは「買戻し(売買予約)」と「買戻し特約」を比較しながら、両者の違いを明らかにしていきましょう。

1契約を決めるタイミング

まず、「買戻し(売買予約)」と「買戻し特約」では契約を決めるタイミングが異なります。

「買戻し(売買予約)」に関する契約は必ずしも売買契約と同時に行う必要はありません。
一方、「買戻し特約」は売買契約と同時に決めておかなければならないものです。

2買戻すまでの期限

買戻しはいつまででも行えるのでしょうか。買戻すまでの期限にも、両者の間で違いがあります。

「買戻し(売買予約)」の方には買戻すまでの期限はありません。

しかし、「買戻し特約」には買戻しに期限が存在します。その期限は最長で10年となっています。もし契約上で10年以上の期限を定めたとしても、期限は10年になってしまいます。
また、特に買戻しに対する約束が契約の際になされていない場合は、10年ではなく5年が期限となります。

3買戻すために必要な金額

いくら支払えば買戻しができるかという内容も契約時に決めておいた方が良いでしょう。

「買戻し(売買予約)」では、資産を買戻すための金額を自由に決めることができます。

買戻しの金額を自由に決めることができる「買戻し(売買予約)」では、買取価格は売却したときの価格より高くなるのが一般的です。
価格が高くて「買戻し(売買予約)」ができなくなる人が続出するのはこのためです。

一方「買戻し特約」では、買取価格以上の額で買戻しをさせることはできないことになっています。

4買戻しをする対象の資産

どのような資産が買戻しの対象になるのかという点にも両者の間で相違があります。

「買戻し(売買予約)」では、動産でも不動産でも買戻すことができます。
ですが「買戻し特約」の方は、買戻す資産は不動産でないといけないという制約があります。

リースバックにおける買戻しのトラブル

次に、リースバックの買戻しに関して実際に起こったトラブルについてご紹介します。

金額が高くて買戻せない

リースバック業者から提案された金額が高額なため、買戻せないというトラブルです。

買戻すためのコストが高く、資産を買戻すことができないというケースはたくさんあります。リースバックでは、買戻しの価格は売却額の1.1倍〜1.5倍となるのが一般的です。

リースバックのメリットは買戻しができることであるにもかかわらず、高い金額を設定されてしまうことが多いため、実際に買戻しを叶える人は少ないのが現状です。

しかし、どうしても買戻したい場合はどうすれば良いのでしょうか。
金融機関によっては、リースバックの買戻しのためにローンを組むことも可能です。ですが、融資を受けるためには審査があり、本人の収入などの状況によってことなります。
つまり、実際のところはリースバックの買戻しのためにローンを組むことは難しいということがわかります。

さらに、審査の結果以前に、買戻しのためにはローンを組めない金融機関もあるので注意が必要です。

結論としては、所持金を貯めて現金で買戻すことが最も確実な方法なのです。

過去に言われていた金額と変わってしまった

リースバック業者から過去に言われていた金額と変わられてしまったというトラブルもあります。

売買契約を結んだ際には明確な買戻し金額を決めていなかった場合、金額については口約束をする程度になります。
買戻しを検討している場合はその金額を必死で集めることでしょう。

そしていざ買戻そうとすると、過去に言われていた金額より値上がっていることがあります。

そのため、せっかく買戻しのためにお金を貯めておいたにもかかわらず資金不足で結局買戻すことができなかったという事態に陥ってしまうのです。

買戻しを確実に成功させるために

先ほどのトラブルの事例などから、買戻しをすることは簡単なことではないということがわかりました。
それでは、確実に買戻しを行うためにはどうすれば良いのでしょうか。

家賃の支払いを滞納しない

冒頭でも述べた通り、家賃を滞納してしまうと買戻しができなくなってしまいます。
いずれ買戻すことを希望しているのであれば、家賃は滞納せずに支払っていくようにしましょう。

買戻しの条件については契約の段階で定めておく

買戻しの条件については契約の段階で明確にしておきましょう。

事前に契約上で定めておけば、後から買戻しのための条件を悪くされたり、やはり買戻しはできないなどと言われたりするのを防ぐことができるからです。

契約で定める買戻しのための条件は、できるだけ買戻しをしやすい条件にしてしまえば、買戻しに成功しやすいでしょう。

具体的に、買戻しをしやすい条件とは、買戻しをするタイミングは指定せず、買戻しの価格は固定しておくものです。

買戻しをするタイミングを指定してしまうと買戻しができなくなってしまうことがあります。なぜなら、その時までに買戻しのための費用が貯まっているとは限らないからです。

また、買戻し価格を固定しておけば、後々価格を上げられてしまうことを防ぐことができます。

もしリースバックした資産を買戻したい場合は、自分の任意のタイミングで買戻しをすることができ、買戻し価格は変動させないという内容を、契約に含んでおくと良いでしょう。

【まとめ】〜リースバックでは買戻しをすることができる!〜

リースバックでは資産の買戻しをすることができるということがわかりました。

買戻しには「買戻し(売買予約)」と「買戻し特約」の2種類があり、リースバックで行われているのは「買戻し(売買予約)」の方です。

これらの大きな違いは、
「買戻し(売買予約)」は、売買契約を再度結ぶことでいずれ資産を手元に戻すことを約束するもので、
「買戻し特約」の方は、一度締結した売買契約を解除することで不動産を手元に戻す という点にあります。

名前はとても似ているけれど、仕組みは異なっていることがわかります。

買戻しは、契約内容によってはできなくなってしまったり、トラブルが発生したりすることがあります。買戻しを望む場合は十分に注意をし、リースバック業者に確認するなどしてから行いましょう。