老後の備えは大丈夫?他人事ではない「資産形成」と「将来設計」

本記事では資産形成と将来設計について詳しく&分かりやすく解説し、資産形成の具体的な方法をご紹介します。

目次

  1. 資産形成を始めよう
  2. 公的年金だけでは赤字になる老後生活
  3. 将来設計について考えよう
  4. 資産形成の具体的な方法
  5. 私的年金
  6. 保険商品
  7. 不動産投資
  8. 株式投資
  9. 投資信託

資産形成を始めよう

資産形成とは、自分や家族の将来に備えて、資産を一から作っていくことです。

ここで一つ質問です。

100万円の元金を年利3%で複利運用したら、30年目にはいくらになると思いますか?

複利運用とは、
1年目は100万円を+3%の103万円に、2年目は103万円を+3%の106万900円に……という運用のことです。

答えは2,427,262円。

ただ銀行に預金しているだけでは、こうはなりませんよね。これも資産形成の一種です。

計算式は100万×(1+0.03)^30です。
100万円に1.03を掛けて、その値にさらに1.03を掛けて、というのを30回繰り返すという意味です。

複利計算サイトを利用しても簡単に計算できます。

資産形成にはさまざまな方法があります。

私的年金、国債、生命保険、不動産投資、株式投資、投資信託……

いずれの方法においても、早い時期から資産形成を始めたほうが有利です。
時間を掛けて長期的に運用できるので、少ない元金でも比較的に資産を増やしやすくなるためです。

20代や30代の方であっても、これを機に資産形成について一緒に考えていきましょう。

公的年金だけでは赤字になる老後生活

資産形成と切っても切り離せない関係にあるのは「老後の生活」です。

・実収入:213,379円
・可処分所得:181,537円
・消費支出:243,864円

これらの金額は、「高齢夫婦無職世帯」の月平均の「実収入」「可処分所得(手取り収入)」「消費支出」の金額です。総務省が2016年に公表した「家計調査年報 平成27年」に記載されているデータです。

高齢夫婦無職世帯とは、「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯」のことであり、主に公的年金で暮らしている夫婦世帯のことでもあります。
その実収入213,379円のうち、194,874円が公的年金を含む社会保障給付であるためです。

公的年金とは、国民年金、厚生年金、共済年金のことです。

高齢夫婦無職世帯の月々の可処分所得(手取り収入)181,537円に対して、
月々の消費支出が243,864円……毎月62,326円の赤字となる計算です。
この月々の赤字について、総務省は「金融資産の取り崩しなどで賄われているとみられる」と説明しています。

夫婦ではなく単身(高齢単身無職世帯=60歳以上の単身無職世帯)の場合でも、
月平均の実収入115,179円、可処分所得102,631円、消費支出143,826円と、月々41,195円の赤字が生じています。

つまり、老後に公的年金だけで平均水準の生活をすると、毎年約75万円(単身なら約50万円)の赤字になるという現状です。赤字を回避するためには、消費支出を平均未満に抑えるという方法が考えられますが、それでも安心はできません。

なぜなら、公的年金制度は私たちが老後を迎えるときも現状のままとは限らないためです。

2016年現在、政府は「年金制度改革法案」という年金支給額抑制に関する法案の成立を目指しています。
物価が上がっても賃金が下がれば、その下落に合わせて年金支給額を減らすという改定ルールを含むことから、野党からは「年金カット法案」などと批判されています(現行法は、物価が上がって賃金が下がるときには支給額を減らさないルールです)。

もっとも、若者世代の老後を見据えての年金制度持続を目的とした法案でもあるため、この法案への賛否は分かれるところです。
年金制度の破綻を防ぐという観点からは、単純に批判できるものでもありません。
しかし、留意すべきなのは、実際に私たちが老後を迎える頃に、年金制度が現在と比べてどのように改革され、どのように運用されているか定かでないということです。

このような現状もあり、公益財団法人 生命保険文化センターが2016年9月に発行した「生活保障に関する調査」によると、自分自身の老後生活について「不安感あり」と85.7%が回答しています(非常に不安22.7%、不安を感じる29.4%、少し不安33.6%。回答数4,056)。

また、「不安感あり」と回答した人に具体的な不安の内容を聞くと、最も多かったのが「公的年金だけでは不十分」(80.9%)でした。

不安を解消するには、老後を迎える前から計画的に資産形成を行い、公的年金だけに頼らなくても良い経済状況を作ることです。

それでは、どのようにすれば上手に資産形成を行えるのでしょうか?

将来設計について考えよう

上手に資産形成を行うために、まず「ライフプラン」を作成してみると良いでしょう。
ライフプランとは、人生設計という意味です。
ファイナンシャル・プランナーに資産運用の相談をしたときなどに使用される言葉でもあります。

これまでは、資産形成とは切り離せない老後の生活に焦点をあててきましたが、資産形成は老後の生活のためだけに行うというわけでもありません。
人生にはさまざまな出来事があります(この出来事のことを「ライフイベント」と呼びます)。

ライフイベントとしては、結婚、出産、子育て、教育(子どもの学校入学など)、車や住宅購入、転職、親の介護、病気、退職(リタイア)などが挙げられます。

そして、ライフイベントには費用を伴うことが多いです。
先の例なら、結婚費用、出産費用、養育費、教育費(幼稚園から大学、習い事や塾なども)、購入費(ローン)、転職資金、介護費用、医療費、老後の生活費などが必要になります。

ライフプランは、将来のライフイベントをその収支と結びつけて予想し、作成するものです。
たとえば転職であれば、その費用だけでなく、収入がどう変化するかなども予想します。

ライフプランの作り方としては、エクセルが便利です。たとえば下記のように作成します。

上記はあくまで一例です。

費用としては他にも、住宅ローン、養育費、教育費、保険料、各ライフイベントの費用などが考えられます。
結婚であれば結婚費用、出産であれば出産費用やベビー用品購入代も必要でしょう。
また、必ずしもライフプランの予想通りに歩んでいけるわけでもありません。
ライフプランは現実的な状況に合わせて、繰り返し修正するものでもあります。

資産形成を行うということは、上記の例でいう「その他収入」を増やすということでもあります。
ライフプランの精度が高いほど、そのライフプランを踏まえたうえでの計画的な資産形成が行えるようになります。
なお、WEB上でもライフプランのシミュレーションが可能です。

・ライフプラン診断(日本FP協会)
https://www.jafp.or.jp/know/lifeplan/simulation/
※手軽にライフプランのシミュレーションが行えます。

・e-ライフプランニング(公益財団法人 生命保険文化センター)
http://www.jili.or.jp/consumer_adviser/plan.html
※WEB上ではこれ以上ないほどしっかりとしたシミュレーションが行えます。

資産形成の具体的な方法

本項目では資産形成の具体的な方法をご紹介します。

私的年金

私的年金とは、民間の企業・団体が行っている年金のことです。
公的年金(国民年金、厚生年金、共済年金)に私的年金を上乗せするイメージです。
企業年金も私的年金に含まれます。

私的年金には下記の種類があります。

・国民年金基金
国民年金基金とは、国民年金に上乗せできる私的年金で、第1号被保険者(自営業者など)のみ加入できます。
自営業者などは厚生年金に加入できないため、厚生年金に相当する年金制度が必要ということで創設されました。
掛金は月々68,000円が限度で、掛金や加入期間に応じた給付金が受け取れます。
掛金は全額「社会保険料控除」の対象にもなります。
・厚生年金基金
厚生年金基金とは、厚生年金に上乗せできる私的年金です。
企業年金の一種でもあります。厚生年金基金に加入している企業であれば、その従業員も自動的に厚生年金基金に加入することになります。
反対に、加入していない企業であれば、その従業員も加入することはできません。
掛金や加入期間に応じた給付金が受け取れます。
・確定給付企業年金(DB)と確定拠出年金(企業型DC)
DBと企業型DCはよく対比される私的年金で、どちらも企業年金の一種です。
DBは最も多く利用されている企業年金で、掛金の運用は企業が行い、給付額が約束されています(ただし運用実績により減額となることもあります)。
企業型DCは普及してきている企業年金で、掛金の運用は個人(従業員)が行い、その運用実績によって給付額が変動します。

その他、保険会社による個人年金保険なども私的年金の一つです。

保険商品

生命保険会社などの保険商品を活用して、資産形成を行うことも可能です。
本項目では養老保険、学資保険、個人年金保険についてご説明します。

・養老保険
養老保険とは、「養老」とある通り老後を見据えた保険のことで、生命保険の一つです。
生命保険は、死亡した場合に保険金が支払われる「死亡保険」、一定期間生存した場合に保険金が支払われる「生存保険」、死亡した場合も一定期間生存した場合も保険金が支払われる「生死混合保険」に区別できます。
養老保険は、死亡保険と生存保険の保険金を同額(1:1)で組み合わせた生死混合保険です。保険料は比較的高めですが、保険会社から必ず保険金が支払われる点が強みです。
養老保険は一般生命保険料控除の対象にもなり、節税にも利用できます。
・学資保険
学資保険とは、子どもの教育費(学資金)に備えるための保険商品です。
子どもの親などが契約者となり、満期を迎えることで保険金が支払われます。
また、払込免除特約有りの場合は、万が一契約者が死亡した場合も、保険料が免除されて予定通り学資金が貰えます(ただし、子どもか周囲の誰かがその旨を保険会社に連絡する必要はあります)。
学資保険にはこのような生命保険機能も付いており、一般生命保険料控除の対象にもなります。
・個人年金保険
個人年金保険とは、生命保険会社などが提供する個人年金です。私的年金の一種でもあります。
通常は保険契約時に積立利率を決めるので、同時に個人年金保険の受取金額も決まります。
一方で、「積立利率変動型個人年金保険」と呼ばれるタイプもあります。
金利情勢によって積立利率が変動し、個人年金保険の受取金額が増減する商品です。
また、個人年金保険は個人年金保険料控除(場合によっては一般生命保険料控除)の対象になります。

不動産投資

不動産投資とは、利益を得る目的で不動産に投資することです。
投資のやり方次第で安定収益を得ることもできますし、大きなリターンを狙うこともできます。

比較的リスクの少ない方法としては、不動産を現金一括で購入することです。
たとえば物件価格500万円、実質利回り10%の区分マンションがあったとすれば、諸費用が物件価格の7%として自己資金535万円を用意すれば購入可能です。
実質利回りとは費用を考慮した利回りなので、空室や家賃下落等がなければ毎年50万円の運用利益を得られます。

……しかし。
今、さらっと「自己資金535万円を用意すれば」と書きましたが、なかなか簡単には用意できませんよね。
それに、自己資金を回収するのに10年以上掛かってしまいます。
老後に備えるという意味ではそれもアリなのですが、不動産投資としての魅力(旨み)を十分に発揮しているとはいえません。

不動産投資の魅力は、融資を受けられることです。融資を受けることで投資効率が良くなります。
たとえば年収300万~400万円ほどの会社員の場合、物件価格500万円の物件でしたら、自己資金135万円ほど貯めれば購入できる可能性が高いです(自己資金20%、諸費用7%で計算)。

もちろん融資を受けることでローンの返済をする必要は出てきますが、それを考慮しても先の例より素早く自己資金(135万円)を回収可能です。
そして、その回収した自己資金で、また新たな物件を購入することができます(再投資)。
この再投資を繰り返すことで、どんどん所有する物件が増えていき、手元に残る現金(キャッシュフロー)も増えていきます。

また、不動産投資には「フルローン」や「オーバーローン」といった手法もあります。

フルローンとは、物件購入における諸費用のみを現金で支払い、あとは全てローンで物件を購入することです。

オーバーローンとは、諸費用もローンで賄うことによって自己資金0円で物件を購入することです。

自己資金の目安は物件価格の20%~30%ほどですが、物件によっては、フルローンやオーバーローンを組み、少ない自己資金(あるいは自己資金0円)で購入可能なケースもあります。
家賃収入からローンの返済も可能となりますので、少ない自己資金でも大きな資産を形成し得る。
これが不動産投資の魅力です。

なお、不動産投資は生命保険の代わりにもなります。

ローンを組むときに団体信用生命保険(団信)に加入できるためです。

団信とは、ローン契約者が、万が一、ローン返済中に死亡する・高度障害状態になるということがあったとしても、生命保険会社が代わりにローン残高を支払う保険制度のことです。
遺族にはローン残高のない収益物件が残りますので、生命保険として機能します。

不動産投資は、とにもかくにも勉強することが第一歩です。
たくさん勉強して、ぜひ不動産投資にチャレンジしてみてくださいね。

株式投資

株式投資も資産形成の一つの方法です。

株式投資には、一日で株の売買を完結させるデイトレード、数日で株の売買を完結させるスイングトレード、何ヵ月~何年、何十年ものあいだ株を保有し続ける中長期投資(中期投資・長期投資)といったやり方があります。
中長期投資であれば、配当金や株主優待を得ることで資産形成することも可能です。

やり方次第で安定収益や大きなリターンも狙えますし、狙ったリターンに応じてリスクも変わってきます。

2014年からはNISA(少額投資非課税制度)と呼ばれる制度も始まりました。
2016年現在、株の売却益には20.315%の税金がかかるのですが、NISAを適用した口座で売買するとその税金が非課税となります。
ただ、NISAは投資上限額が決まっており無制限に何度も売買できるわけではないので、デイトレードやスイングトレードにはあまり向いておらず、中長期投資に向いています。

投資信託

投資信託とは「資産運用の専門家が投資家から資金を集めて、集めた資金で株や債券などを運用し、その運用益を投資家に分配する金融商品」のことです。
また、不動産の運用益を投資家に分配する投資信託のことをREIT(リート)と呼びます。

「専門家に任せるなら安心!」と思う方もいるでしょうが、投資信託は玉石混交です。

安定的な利益に繋がる投資信託もあれば、購入すると損をしてしまう投資信託もあります。
投資信託は価格(基準価額)が変動するので、購入価格を下回り元本割れして、分配金を考慮しても損をすることがあるためです。また分配金も運用実績などにより変動します。

また、「タコ足分配」を行っている投資信託にも要注意です。
タコ足分配とは、運用益ではなく投資家から集めた資金(元本)から分配益を出すことです。
タコが自分の足を食べているようなものなので、そう呼ばれます。
投資家からすれば元本が戻ってきているだけですが、信託報酬(投資信託への手数料)はしっかり取られます。

結局のところ、投資信託を購入するにしても、自分でちゃんと考えたうえで選ばなければならないということですね。

以上、資産形成と将来設計についての解説、そして資産形成の具体的な方法でした。
ご参考になれば幸いです。